台所のすみっちょ...風子

 

 

遭難 - 2003年04月10日(木)

私のバイト先に、入会申し込みの韓国な若い女性の留学生さんがやってきた。

「ここ・・・・できたい・・・・です・・・私・・・・・」といった感じで、

日本語がほとんどできないのであった。

大変困った。


あ〜あ、、韓国語ぐらいワールドカップ熱に便乗してかじっておくんだった

と思いつつ、

取り敢えず英語で「キャン ユー スピーク イングリッシュ?」と聞いてみる。

すると「イエス」の答え。



なおさら困った。



まず、「この区に在住か在勤ですか?」と聞かねばならない。

英語で。

そしてその後に、
         ↓
「まず会員になってもらいます。その際写真を撮って会員証を
 作らせていただきます」
         ↓
「使用量は一時間で100円です。次回からはこの会員証をお持ちください。」

を、説明しなければならない。

英語で。

さらに、今日さっそくやりたい的なそぶりを見せた場合、

「会員登録をしていただければ、すぐご利用になれます。」
       
         ↓
「先に登録料100円をいただいて、今日の分の使用量はお帰りの際、
 別途いただきます。」

も、説明しなければならない。

英語で。



ふふ・・私は自慢じゃないが、大学生の頃、当時住んでいた最寄りの駅の

ホームで、インターナショナルスクールの生徒だと思われる少年に、

「阿佐ヶ谷はどっち方面ですか?」みたいなことを英語で訪ねられ、

東京方面を指さしながら「あ〜は〜ん、こっちでぇ〜〜〜すぅ〜」と

抑揚だけが英語の日本語を思いっきりかましてしまい、一緒にいた妹から

「大学に行っても、そんなもんか・・」と言い切られてしまった女であり、

またある時は、遠くの方で電話をしていた外人さんに時間を聞かれ、

答えられずにそこまでダッシュし、時計をじかに見せてしまった

アスリートでもある。


しかし、いつまでも困ってるわけにはいかなかった。

途方に暮れながらも「分かりましたよ、英語でしょ英語、、中学の時の成績は

そこそこだったんだから・・、」と、学生時代のおさらいをするように、

頭の中で教科書のページなどめくる私。

だが、思い出すのは、ペンやらリンゴやら・・大きい人と小さい人が

並んでる絵とかで、思わず「This is an apple.」と、リンゴであること

を説明したり、「How Told are you?」と、

身長を聞いてしまいそうである。


で、人というのは不思議なもんで、口が思うようにいかないと

自然とアクションが大きくなる。

肘を大きく伸ばして「あなた」。肘を大きく引いて手を自分の胸に引き寄せ

「こちらで」などと必死になってやるさまは、「大きな栗の木の下で〜」と

お遊戯のよう。

それでも、通じていないことも何度かあって、疲れも出てきた後半は、

もう、自分でもわけが分からなくなり、お遊戯なんか通り越し、

身振り手振りも秩序なく、ただあっぷあっぷともがいているといった有様。

私は明らかに異国の言葉の波に呑み込まれようとしていたのだった。


フロアーを人々が通りすぐてゆく。

彼らは私を見て思ったに違いない。

ジタバタ手を振るそのしぐさ。

「なぜあの人は”SOS”を発信しているのか?」と。





おしまい。


...




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