台所のすみっちょ...風子

 

 

産まれる人。 - 2003年02月21日(金)

来月出産する妻を持つ男の友人Yから一月末、

「飲みに行く件はどうなりましたか?」と催促メール

が入った。

本当は一月早々にもそれは催される予定であったが、

意外な忙しさで、私の方がバタバタし、呑気に酒など酌み交わしている

場合ではなかったのである。

しかし、「それどころじゃない!」とは、いつも飲み会で300円ほど

多めに出してくれる彼にそんな冷たい言葉、浴びせる訳にはいかない。

「一円を笑うものは一円に泣く。」が世の心得なら

「300円を笑うものは次ぎからは300円さえおごって貰えない」が私の心得。


彼とはしばらく連絡を取っていなかった。そう、一年ぐらい。

どーしてるかな?と思っていたところ12月に電話をもらい、

じゃあ新年会でもやるか、という話になった。

そしてその時、私は彼の奥さんが妊娠したことを知ったのである。

受話器の向こうで彼はもぞもぞと、しかしうれしそうに、子供を作った理由を

私に話すのであった。

「いや〜、、夏に大学の同窓会があったのさ〜、

久しぶりに昔の友達達にあったらさ〜子供がいないのが

俺を入れて数人しかいなかったんだよね〜〜」

(ふむふむ・・・)

「それでさぁ〜俺焦っちゃってさ〜。なんていうの、

取り残された気持ちになっちゃって〜」

(・・・?)

なんだそりゃ?という言葉と笑いが出かかった。

−取り残される?−

世界中では確かに日々、子供達がどしどし産まれているかもしれない。

が、女性の生き方が多様になり、選択肢も多くなったというのに、

今どき女からも聞かないようなセリフを

まさか、男の君から聞くとは思わなんだ。



結局、彼との飲み会は2月の後半になった。

「3月に入ってからでいい?」という私のメールに対し、彼の返事はこういう

ものだった。

「2月中でお願いします。3月には俺も産まれるので」

(俺も産まれるので・・・・・・・・?)


私はこんなふうに女の立場に立った男を、他に知らない。


おしまい。


...




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