今日もガサゴソ
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2004年07月04日(日) おねしょガンバレのおじさん

私には1歳8ヶ月下の弟がいます。
賢い子どもだったので
知的な面ではほとんど対等で、
文字などは苦戦苦闘している私を尻目に
誰にも気づかれないうちにスラスラ読めたほどでありました。

そういう奴なのですが
なんというかひ弱な印象の子どもで
すぐ誰かの陰に隠れたがるようなところがあって
線が細いというかなんというか...
雄々しさを求めていた父は
いつも弟に厳しくしていました。
そして私が男の子であったら、と嘆くのでした。

弟が毎日叱られるのは
長く続いたおねしょがメインテーマでした。
小学生になっても毎朝おねしょをしていました。
父は厳しく責めるのですが治りません。
母も気を使って
夜中に起こすとか、夕方から水分を控えさせるとか
いろいろ苦心していました。
夜中に無理に起こすと
夢遊病のように、お手洗いではない場所で排尿をしようとしたりもして
危険を感じたそうです。
毎日布団を干さねばならないので
弟の恥ずかしい行状は近所でも知れ渡っています。
小学校2年のときの担任は
家庭訪問のときに父に対して
「お父様が厳しすぎる弊害が子どもの行動に表れている」と
ハッキリと指摘して、父が逆上するという場面もありました。

弟がおねしょをすると
父が弟を呼び、失敗を認めさせて、決まった罰を与えます。
革のベルトや板でおしりを10回ほど殴るのです。
どんな悪いことをしても、私は2度よりも多く
おしりをはたかれたことはありませんでした。
ましてやベルトや板を持ち出されたことはありませんでした。
その折檻の場面を見るのも聞くのも嫌でたまりませんでした。

夏のある日、両親の山岳部の後輩が盛大な結婚式を挙げました。
私と弟も招かれて、披露宴を楽しみました。
会場の脇には庭の眺めが気持ちの良いラウンジがあって
私と弟はそこで大きなおじさんに呼び止められました。
とても親しげで、私たちのことをよく知っているようでした。
ポケットからハンカチで作ったネズミを取りだして
手の中でちょろちょろと動かして見せました。
二人でおじさんに懐いて笑っていると
おじさんが弟に向かって

おまえはおねしょをするだろう?

と言い出しました。

弟が少し青ざめて、うなずくと
おじさんは次のように続けました。

男ならおねしょは当たり前だ。
大物なら長くおねしょをするものだ。
五年生までおねしょをがんばりなさい。
そのくらいがんばれないと立派な男にはなれないんだぞ。
おねしょをがんばりなさい。
おじさんとおねしょがんばると約束しなさい。


私と弟は、そんなおねしょをがんばるだなんて話しを
聞いたことがありませんでした。
嬉しくて、ほっとして、ぼ〜っとしてしまいました。



果たして、弟は、5年生までおねしょをがんばりました。
約束を守ったわけですな。
弟も40歳を越え、年齢だけは立派なおじさんになりました。
時効だと思うので
覚え書きしておこうと思いました。


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