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2004年07月04日(日)









・野沢尚さん遺書あった…夢はあるけど失礼します−−葬儀・告別式
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 ◇鶴橋康夫氏あてにメモで

 ◇涙、涙の550人

 28日に都内の事務所で首をつって死亡しているのが見つかった
作家で人気脚本家の野沢尚(ひさし)さん(享年44)の葬儀・告
別式が4日、東京・中央区の築地本願寺でしめやかに営まれた。遺
書と見られるメモを残されたというテレビディレクターの鶴橋康夫
監督(64)は「20年そばにいた。声をあげて泣いた」と無念の
表情。また、俳優の役所広司(48)も弔辞を読み、涙を流した。

 ◇7日には打ち合わせの予定

 野沢さんのデビュー作からの付き合いだった鶴橋監督は、遺書が
あったことを明かし「メモで“ご迷惑をおかけします。夢はまだい
っぱいあるけど失礼します。ここまで育ててもらってありがとうご
ざいます”というようなことが書いてあった。かわいくてまだいっ
ぱい約束もあった。わからん」とやりきれない思いを吐露した。7
日には新しいドラマの打ち合わせが予定されていたという。

 弔辞では「もう楽になっていいぞ。君は家族よりも登場人物と親
しみすぎた。その行く末も、細々とした日常も身を粉にして考えす
ぎた…」と声を詰まらせた。

 さらに、作家の北方謙三氏(56)と役所も弔辞。今年3月に放
送された最後のテレビドラマ「砦なき者」に出演した役所は「野沢
作品は僕の誇りであり宝物」と涙ながらに呼びかけた。

 この日の葬儀・告別式には、テレビ、映画、芸能関係者ら約55
0人が参列。棺の中には生前大好きだったサッカーのボール、無人
島に持って行きたいと語っていたカクテルの本、万年筆と原稿用紙
が入れられた。

 多くのやりかけの仕事と、中2の長男と小6の長女を残して旅立
ってしまった野沢さん。その具体的な理由は明らかになっていない
。執筆途中だったNHKドラマ「坂の上の雲」は「子供たちにいい
ものを残したい」と始めた仕事だった。

 喪主の妻・由紀子さんが「主人の宝物だった子供たちをしっかり
守っていく。“よく頑張ったね。僕の思っていたとおりの大人に育
ててくれたね”と褒めてもらえるように頑張ります」とあいさつす
ると、会場は涙に包まれた。

 ◇「江戸川乱歩賞」記念品が祭壇に

 ○…祭壇には故人が好きだったカサブランカが飾られ、97年「
破線のマリス」で江戸川乱歩賞を受賞したときにフジテレビから贈
られた万年筆と原稿用紙が供えられた。遺影は、同賞受賞直後に撮
影したものという。また、会場内には野沢さんが手掛けた作品の一
覧がパネルで展示された。法名は「釋法尚(しゃくほうしょう)」


 ◇役所「五輪、W杯もうすぐなのに…」

 ○…サッカー観戦が趣味だった野沢さんは、02年から毎年サッ
カー選手を描いた小説を出版。シリーズ第3弾「龍時03―04」
(文芸春秋)が、あす6日に発売される。この日、役所は「オリン
ピックもW杯ももうすぐなのに…」と悔やんだ。また、長年付き合
いのある編集者は、野沢さんの事務所内の様子について「FAXの
横に取り扱い説明書の操作方法のページが開いてあった。だれも操
作方法が分からないと困ると思ったのだろう。最後まで人に気を使
う人だった」と話した。

 ◇主な参列者

 豊川悦司、渡哲也、、鈴木京香、三谷幸喜、財前直見、津川雅彦
、唐沢寿明、新山千春、久世光彦、仲村トオル、内山理名、妻夫木
聡、竹中直人、豊原功補、岸部一徳、北村一輝、山下徹大、木村多
江、奥山和由(順不同、敬称略)


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Uchiki Ai