半年前から始まった 手話奉仕員の講習会で ばったり 小学校のころの親友と再会した 「一年間よろしく」 知り合いが居ることは心強い ただ・・・ふざけすぎないように気をつけなくては・・・ ちょうどいいことに 席順は毎回 主催者のほうで決められている 同じグループになることももちろんあるが ほとんどは離れるため 内心ほっとしている お互い受けを狙い始めると 止まらなくなるからだ・・・
彼女は生まれつき 右てのひらと左足がなかった 出逢った小学校のころは 義足をつけていたが 成長期には義足にはめ込む膝下5センチほどの足が痛み 蒸れと皮膚の化膿に かなり苦しんでいた 気の強い彼女は 手足のことでからかう友達に 食って掛かり 転んではからかわれ それでも負けずに立ち向かっていった そんな彼女の姿が なぜか私は大好きで 私との喧嘩も絶えなかったが 大の仲良しだった 忘れもしない うがいをした水を 水道の外に吐き 私が偉そうに注意すると 松葉杖で額を叩かれた こめかみから血がにじみ 腹を立てた私は 怪我の痛み以上に騒いだことがある 今思えば 義足の調整のために 何度も東京へ通い 出来上がってもすぐに痛む この繰り返しで ぶつけようのない苛立ちや 思うように動けない悔しさが そうさせていたのかもしれない
卒業とともにぱったりと交流は途絶えて 社会にでてから 実業団の障害者水泳選手に 選ばれたと聞いた 幼いころから活発で勝気だった彼女らしいところが 嬉しかった 今夜 声を止めて今までに嬉しかったことを 手話でスピーチした 彼女の話は 「私は 生まれつき手足に障害がありますが 体を動かすことが大好きです。スポーツはずっと続けています 1番嬉しかったことは 障害者スポーツ指導員の 資格がとれたことです 今は盲人に卓球とバレーボールを 指導しています」 というものだった 彼女の右手では 表現できないこともある でもあえて「手話」を選び 左手で補いながら 表している そんな彼女はあのころのまま 私は大好きだ
盲人の卓球もバレーボールも ネットの下をくぐらせて 球を転がして打つ方法 球の中には鈴を入れることもあるが バレーボールは 普通のかたいボールを使うらしい そういえばずいぶん昔に 卓球を見に行ったことがある 応援の声が響く試合とは違い 信じられないくらいの静寂の中で行われていた 球の転がる音 打ち合う音 盲人が楽しめるスポーツがあるのだ
今日は隣同士になり 久しぶりに 冗談の言い合いに華が咲く 「こらぁ・・ちゃんと聞きなさいよぉ」 「笑いのつぼにはめてやるー」 前列の人の肩に隠れて 不自然な2人の動きだろう・・・ 大柄な体に ちょこんとくっついた二つの三つ編み ちっとも変わらない笑顔に引き込まれ いつしか2人は小学6年生
原点 (悪友せっちゃんへ)
私が福祉の仕事を選び
抵抗なく「障害」を受け入れることができるのは
あなたと出逢えたからです
恥ずかしくて顔を見ては言えやしないけど
出逢えてよかったよ
生まれてきてくれて
ありがとうね
|