...ねね

 

 全てフィクションです

【DRESS】 - 2003年10月28日(火)

仲間と入ったその店は内部が意外に明るく設定してあり
バーのようなイメージとはまた違った感じがした。
中央のステージを見て同僚が「ストリップ小屋みたいだな」と言った。
そちらへ目を向けると、ちょうど太った女の人(男の人?)がマイクに向かって
なにやらショーを始める、といったことを喋り始めた。
すると突然けたたましくロックのような音楽が鳴り響き、
色とりどりのドレスを着た女の人達が数人出てきて踊り出した。
さっきの太った人とは違い、みんな綺麗で本当の女性のようだ。
同僚達は口々に囃し立てている。

僕がステージに見とれていると、隣にいつの間にか女性が座っていた。
「楽しんでもらえてるかしら」
振り向くと、無理に女性らしい声を出してはいるもののとても綺麗な人がいた。
喋らずにいればきっと誰も男だとは気付かない。
香水のいい匂いがしていた。

同僚達は女性達をからかって顰蹙を買っている。
それを見て僕が少し嫌な顔をした。そして目を背けずにはいられなかった。
なぜなら女性の格好をしたいという願望がある僕の事も馬鹿にされた気持ちだったからだ。
すると女性は申し訳なさそうに言った。
「ごめんなさいね。アナタこういう所は嫌い?」
どうやら僕がオカマバーだとは知らずに付いて来て、嫌悪していると思ったようだ。
「ち、違います。僕は・・・その、あいつらの言動が酷過ぎると思って」
ところが彼女は「そんなのとっくに慣れたわよ」と言って、ふふっと笑った。


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