...ねね

 

 全てフィクションです

【DRESS】 - 2003年03月17日(月)

「どうだった?兄ちゃん」
「最高っ!」

まだ両親が起きないうちに僕たちは部屋に戻った。
そして興奮ぎみに今の感想を並べ立てていた。
でも今の気持ちにピッタリくる言葉なんか無い。
自分でも何をどう表現したらいいのか分からない。

「ありがとう、瑤子。ありがとう、由希。
 お陰で外に出られたよ。ほんとありがとう」

まるで数年ぶりに娑婆に出たみたいだ。
なんとなく自分が開放された感覚だった。

しばらく日にちが経つと、
またあの感覚に酔いしれたいと思うようになり
何度か妹たちに付き合って貰ってスカートでの外出をした。
早朝の散歩のみならず
大きなバッグに洋服を詰め、どこかのトイレで着替えよう
という計画も練ったりした。
(結局女装したままトイレから出られない事に気付き中止したが)
この時期が僕のそれまでの生活が
飛躍的に楽しくなっていった時期だった。


そう。木戸が現れるまでは。



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