...ねね

 

 全てフィクションです

【父との秘密】母に全てを話す - 2002年07月22日(月)

車の音が聞こえてきた。
母が帰って来た。
あたしはどんな顔をしていればいいものか分からずに身を縮めた。
大丈夫、俺が説明するし。と、弟が立ち上がった。
家に入ってきた母の声が聞こえて、あたしはより一層小さくなった。

よっぽど何か大変な事があったのだろうと慌てて帰ってきたであろう母は
泣き腫らした目で出迎えた弟と
その奥の居間で毛布を抱えて丸くなっているあたしを見て
どうしたの?どうしたの?と矢の様に質問した。

どう見ても尋常じゃない風なあたしに歩み寄り、
「何があったの?パパはどうしたの?」
と、早口でまくし立てた。

「あたし・・・」

その先が口から出てこない。
話そうとすればするほど、口元が凍り付いて動かなくなった。

あたし、あたしは・・・


「パパが姉ちゃんに手を出したんだよ」
と、弟が横から口を挟んだ。
母は一瞬目を見開いて
「そう・・・お姉ちゃんには手をあげた事無いのに。何やったの?怒らせたの?」
と、溜息混じりに呟いた。
母は父があたしを殴ったのだと思ったようだ。


「違うよ。パパは、姉ちゃんを、犯したんだ」

弟が搾り出すようにそう言うと、母は一層目を見開いた。



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