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2002年07月08日(月) 流れ星と麻痺する心




彼が金曜日の日に「月曜に少しだけでも逢おうね。」と言いました。
月曜は同居人が休日なので、ゆっくり逢える日なのです。
でも、先日の一件で、私は逢おうか逢わないか考えていました。
彼と逢うと、又『離婚』の問題の話をしてしまいそうで、
私の頭の中がグルグル、しはじめて来ました。
こんなに、憂鬱になったのは何時からだったのでしょう?
彼と知り合った時は、こんなに憂鬱になる事なんて無かったのに・・・。
ただ、毎日が楽しくて張り合いが出来たような、
そんな爽やかな気持だったのに・・・。
彼と逢って「覚悟して付き合って貰わないと困る。」と私は言い。
彼は、その後ハッキリした事を言ってくれなかったけれど、
その言葉を忘れずに私と付き合ってくれていると思っていました。
『離婚出来ない』と言う彼に同意してしまった私は今後、一切、
彼に離婚の話を言い出す事は許されないのだと思いました。
それは彼を追い詰めないで付き合っていく最良の方法ですが、
私は自分の気持ちを否定しながら、
何時も笑って居なければいけないのでしょうか?
何時までそれに、耐えられるのかは私にも全く、解らない事です。

今日は彼に逢わないつもりでした。
彼に仕事の件で、請求書を渡さなければいけなかったのですが、
別に渡すのは何時でも良いのだから・・・と思っていました。
子供とゆっくり過ごす時間も無い同居人のリクエストで、
今日の夕飯を、しゃぶしゃぶにする事にしました。
食事の時間が普段から遅い私の家なので、
仕度は午後7時に差し掛かる所でした。
その前の時間帯から彼が何度も
メールやオフラインでメッセージをくれていました。
「今日は忙しいのかな?」「体調はどうかな?」
私は何て返事をすれば良いのか、解らなくなってしまいました。
一応、時間差で、
「今から、食事の仕度をします。遅くなってしまったね・・・
今日はどうしようか?」
とメールを出すと、先日、仕事の件で借りていた本を返却する為、
私の家の近くにある図書館まで来ていると言う返事が彼から届きました。
食事の終る時間まで近くの駐車場で待っているから、と言う彼・・・。
近くまで来ているのに・・・請求書を渡すだけなのに・・・
逢えないと言う理由も可笑しいな・・・。
私はそう考えると、同居人に・・・。
「会社の人が書類を取りに近くまで来るみたいなんだけど・・・」と、
聞きました。
同居人は私が外出する事を一度も疑った事は無いんだと思います。
仕事を受けている相手が彼だとも知らないですし、
今年のバレンタインの日に、彼と同居人は修羅場になった事はあっても、
その時は暗くて、
何が何だか同居人も解らないまま外に飛び出してしまったので、
相手が彼だという事もハッキリは解らない様子でした。
今日も同居人は「少しの間だけなら行って来れば?」と言っていました。
私が「でも・・・家でゆっくり御飯も食べたいし・・・。」
そう返答すると、
「じゃ〜御飯食べてから行けば?」と言いました。
食事をしてから出掛けると彼が待ちくたびれてしまうし、
食事の前に出掛けても、
話によっては直ぐに帰って来れるかどうかも解らないし、
私が出掛けることも食事をする事も躊躇していると、
同居人も少し怒り出したような雰囲気になってしまいました。
それも、その筈です。
何時もはハッキリした態度を示す私も、今日は本当にどうしたら良いのか解らず、
自分でも不可解な態度をしていたので・・・。
同居人もそんな様子を見て、
イライラしだしたのだと思いました。
その後、少し口論になってしまって私は取る物も取らず、
出掛ける為に家を出ました。

彼は何時もの駐車場でジッと待っていました。
彼と逢うまで私も少しイライラして居て、不機嫌な顔をしていたと思います。
でも、そんな顔を彼に見せる訳にもいかず、気を取り直すようにしました。
「早かったね・・・・」と彼が言って「うん。」と何時ものように私が答えると、
普段と変わり無く彼は駐車場から車を出しました。
「ドライブに行こうか・・・」彼は宛ても無く車を走らせながら言い、
私も「うん。」と又、答えて、それっきり無言のまま暫く車を走らせました。
30分くらい走ると、誰も居ない一面の麦畑へ出ました。
そこに車を止めて、取り留めの無い話や仕事の話をしました。
少し暑かったので、散歩をしようと言って外に出ました。
麦畑の畦道を通って二人で畑の真ん中でボーっと辺りを見たり、
少し歩いた所に、用水路の橋があって、
そこまで手を繋いで歩いたりしました。
風が強かったけれど、心地よく感じました。
彼が不意に私の髪の毛を後ろに束ねて首筋にキスをしました。
私は黙って居ました。
何時の間にか私の被っていた帽子が落ちそうになって、
彼が帽子をそっと外してくれました。
彼はキスをやめようとはしませんでした。
そこに、どのくらい居たかは解りません。
来た道を通って車に戻ると、又、彼の愛撫は続きました。
この前・・・車の中で、してしまった時、気がついたことがありました。
何時もは仕事用のバックの中に仕舞ってあった、ブツが
先日から運転席のシートの下から出て来たのです。
そして、それは今日もでした・・・。
どうしたのか、彼のバックを奥さんにでも見られたのか・・。
中には私が彼宛に出した手紙や、
一緒に映っているビデオもあった筈なのに、
それは何処へ隠したんだろう・・・。
何だか解らないけれど、心配と虚しさが一緒にやって来ました。

私は黙って、吐息で曇っていた窓を開けて煙草に火をつけました。
最近、事が終って身支度をして、ほんの少し話をすると、
「もうこんな時間、じゃ・・・・帰ろっか・・・。」と彼が言う、この言葉が、
「もうする事も済んだし、帰ろう。」と聞こえて来て仕方ありません。
今日も煙草を吸ったら、そう言うんだろうと思っていました。
上を見上げると、さっきまで曇っていた空に、半分だけ晴れ間が見え始め、
星空が見え隠れしていました。
私は、この前の一件で、もう空を見る気持も起きないんじゃないかと、
悲観していましたが、何とかここ数日で少し穏やかな気持に戻って
空を見上げる事が出来るようになって来て居ました。

その時です。
突然、空が崩れてしまうんじゃないかとビックリしました。
アッと思ったら、
それは流れ星でした。
本当に一瞬の出来事でした。
時間にしたら3秒もありませんでした。
生れて初めて流れ星を見たかもしれません。
願い事は言えないうちに消えてしまいましたが、
それでも、初めての出来事でとても嬉しかったです。

彼に今日の家の夕食の献立を話して、同居人が怒っていたと伝えました。
「そうだよね・・・。」
と一言だけ言って何かを考えている様子でした。
家の前まで送って貰うと、もう私の家の灯りは消えていました。






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「うん。」と私が言って、笑いながら手を振って私達は・・
別々の家に帰って行きました。
少しだけ、「このうえ、何を考えるというのだろう・・・
離婚できないと言ったのは彼なのに・・・。」
と思いながら、家へ向う階段をゆっくり登りました。
一人でしゃぶしゃぶを食べました。
「結婚して一番、大切なのは一緒に笑いながら御飯を食べる事だよ。」
私の母はそう言いました。
でも、自分の家族にそれを出来なくさせているのも私なんだ・・・。
少しそう思いました。
彼にも・・今日は疑問に思って居る事は何一つ聞けませんでした。
もう、私は彼に質問する余地も残っていないんだと、そう思いました。
私が何も言い出さなければ、何時も笑っていられるのでしょうか・・・。
何も起こらなければ、安泰な付き合いが出来るのでしょうか・・・。
安泰な付き合いって一体なんでしょう?
時間のある時に逢って、ただ体を重ねて、家人にはばれずに、
喧嘩もせず仲が良ければ安泰なんでしょうか・・・。

御飯の後に一人でワインを空けました。
段々、酔いが進むうちに
「今日は流れ星を見られたから・・・良い日だったのかもな・・・」
と、気持が麻痺して来てしまいました。
「もう、どうでもいいか・・・・。」
私は鼻で笑って、
冷蔵庫の中にある、もう一本の冷えたワインに手を延ばしました。






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