CYMA’S MURMUR

2010年03月29日(月)   My Sister's Keeper



昨日はざっくりと読了報告だけだったので、今日は感想を。
ネタばれ満載ですので、自分で読みたい・見たい方はご注意を。












まずは、設定の妙に惹かれたのだよね。
本を買った時には、ネタばれのところは知らなかったので
「白血病の姉のためのドナーである妹が腎臓提供を拒み両親を訴えた」
ということだけがわかっていた。

「自分の体に対する主権」を取り戻したい、
というのは子供であれ何であれ当然の欲求だと思うし
その主題にどう決着をつけるのかに興味があった。

この本を原作として映画化された映画の紹介をテレビで見て
(兄が「もう言っちゃえよ!Kateは死にたがってるんだって!」と法廷で叫ぶ<うろ覚え>)
あーそういうオチか、とがっかりしたのは事実。

だって、主題が主題でなくなっちゃうじゃない?

実は本を読みながら、あれは映画版だけの展開で、
小説の方は違う展開じゃないのかと期待していたのだ。
裏切られたけれど。

読みながらずっと考えていたのは、
親が何を考えていようともKate本人が移植を拒むなら
それで問題ないのではないかということ。

Kateは16歳だから法律的に微妙なラインなのかしらね?
成人するまでは親が子供の医療内容を決められる、というのが基本前提。
そういえば、大昔エホバか何かの両親が子供への輸血を拒んで
子供が亡くなったということがあったような。

通常は親に決定権があるものの、この小説のケースでは
KateとAnnaで利害が対立するためそこが争点になっていた。
あとは、未成年であるAnnaが本当に自分で決定できる能力があるのか
ということも。

でも結局そういう話は全てうやむやにされてしまう。

Kateの気持ちもちゃんと語られることはない。

本来であれば、Kateが移植を受けることを拒否する訴えを起こすべきだったのでは?

少なくともこのストーリーラインではそうとしか見えない。

法廷の結論としては、「Annaの医療については決定権を両親とはせず
Campbellを後見人(?)とする」という極めてあいまいなところに落ち着くのだ。

で、それで腎移植はどうするわけ?と思ったら

急転直下、CampbellとAnnaの乗った車が事故にあい、
Annaが植物状態となってしまうのだ。

で、CampbellはAnnaの腎臓をKateへ!と告げる。

え〜!!!
Kateの気持ちはどうなるのよ!

結果、KateはAnnaの腎臓をもらって生き延びるわけ。

Kateの「もうこの状態では生きていたくない。移植もしなくていい」
という気持ちは、100%本心だったと思う。
「Annaの体を傷つけてまで移植したくない」という思いもあっただろうけど
「移植しても成功するかどうかわからないのに」という思いの方が強かったの
ではないかと思う。

なのに、その気持ちについては誰も言及しないのだ。

Annaが法廷で証言した後に、検事はKateを訪ねるし、
SaraもKateと語らうようだけれど、その詳細は詳らかにされない。
まぁ、流れから言うと、Annaに遠慮してたってことなのかもしれないけど
それまでの状況を見るに、どうもそれじゃ私は納得がいかない。

そこが非常に不満なのだ。

結果的にAnnaの腎臓がKateを生かすことにはなるけれど
それはあくまで結果論であって、Annaも死に、その腎臓を移植した
Kateも死ぬ、ということだってあり得た。
どちらかというと、その可能性の方が高かった。

Annaの権利を云々する前に、Kateの死を選ぶ権利が議論されるべきなのに
そこが丸ごと無視されているから、全体的に何となくすっきりしない。

それが私の感想だ。

もちろん、家族の絆はしっかり描かれているので、
個々人のストーリーとしては納得がいく。

是が非でも娘を生かしたい母親Sara。
姉を愛しているし助けたいけれど、もう放っておいて欲しいという
Kateの気持ちにも共感しているAnna。それと同時に、Kateの願いによって
自分も自由を得られると感じてしまい、罪悪感を持つAnna。

だけどKateは?(しつこいね)





とまぁ不満も残るのは確かだけれど、それなりにのめり込んで読んだ。
良作だったとは思います。
大量のティッシュと涙と鼻水を消費した。
(泣ける作品が良作とは限らないけれど)





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