| 2007年07月27日(金) |
患者さんに喜ばれた話 |
新井さん(仮名)はとても真面目で繊細な感じがする30代後半の独身男性だ。劇団四季の話をする時目が輝く。整形外科的な診察というよりも、心療内科に近い感じだ。新井さんにはこういうことが大事だと思っている。多分インチョーも同じ考えなんだと思う。
「レ・ミゼラブル」のチケットが手に入ったんです」とか、「ウィキッドは手に入らなくて」とか。ミュージカルを見た後の感想を話したりする。
今日は珍しく後半はそんなに忙しくなく、新井さんがリハビリを終えた頃、診察室には患者がいなかった。リハビリ室に行って声をかけた。
「新井さんにお話したいことがあるんです」
看護師に急にそんなことを言われたせいか、
「なんでしょう?」
新井さんは緊張したような表情だった。
「実は私、随分前に劇団四季の募集要項を取り寄せたことがあるんです」
「えっ?会員のですか?」
「いえ・・・」
「もしかして劇団員の?」
「そうです」
「え〜っ?そうなんですか?」
新井さんは笑顔になり、今まで見たこともないぐらい明るい表情をした。
昔歌手になりたかったこと。劇団四季のオーディションを受けたくて、募集要項を取り寄せたこと。母に電話で「看護学校をやめたい」と言ったら、母は看護学校に通うことや辛いことがあってやめたいと思ったらしく「看護師にならなくてもいいから看護学校だけは出なさい」と言われたこと。オーディションの内容で「クラシックバレエ」という項目を見て、「バレエは習っていなければ無理」と思い、それで挫折したことなどを話した。
劇団四季の「レ・ミゼラブル」を主人と観に行ったことがある。10分間の休憩の時ステージを観て号泣していた私に主人が、
「あのステージに立ちたかったんだろ?島田歌穂のエポニーヌ、あの役をやりたかったんだろ?」
と言った話もした。エポニーヌなんてそんな大それたことは考えてなかったけどね。
劇団四季の会員であり、四季のステージが大好きな新井さんはこんな話で喜んでくれた。
患者が来たのでそれで話は終わりになったが、
「楽しいお話ありがとうございます。またお話聞かせて下さい」
と言われた。
普段忙しさのあまり患者とこんな話をすることは無い。普通の人に私の個人的な話をしてもつまらないだけだと思う。
患者は治療のために通院しているけれど、病気とは関係無い話も時として必要だと思う。共通の話題があるのが一番と感じた。
先日は小学生とゲームの話で盛り上がった。

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