病院をやめることを先生に電話で話したものの、私物はまだ残したままだった。 行こうと思っていたが、スタッフに会うのが嫌で、おっくうになっていた。
明日、デイケアの仕事がある。もしかしたらナースシューズが必要かもしれない。二葉の面談のため、学校に行った帰り、思い切って取りに行った。本当は誰にも会いたくなかった。会ったら、とめどなく涙が流れてどうしようもなくなってしまいそう。私はやめたくてやめたわけじゃなかった。辞めざるを得なかったのだ。
自分の体のことだけではなく、薬物を盗んだ犯人にされた。汚名を着せられ、どんなに私が叫んでも、わかってはもらえない。そんな中で働くことは辛すぎる。
誰にも会わないわけにはいかなかった。1人のスタッフに、 「お久しぶり〜元気?」と声をかけられた。 作り笑いをして「はい」と答えたが、嫌な気持ちになった。
まずナースシューズをはいて、ロッカーのある3階まで行こうとした時、病室のネームプレートが目に入った。スローリーさんがまだ入院している。一瞬迷ったが、 ノックをして病室に入った。スローリーさんは、ビックリしていた。 「どうして?どうしてやめちゃったの?淋しくてたまらなかったのよ。残念で残念で・・・」 私の手を握って離さなかった。 そう言われたら、我慢していた涙が堰を切ったように流れた。 「本当はやめたくなかったんだけどね・・・色々あって。高熱が出て、何度も入院したの。だから」
「大変だったわね。この間、O先生と話していたのよ。どうしてやめたのかなぁって。本当にいい人だったのよ、って話していたの。私が誰かに靴を持って行かれた時、自分のナースシューズを貸してくれたことがあったのよ、家にまで来てくれたこともあったし、って」
スローリーさんの言葉で、そういうこともあったなぁと思い出し、また涙が流れた。15分ぐらい話をして、「また会いましょうね」と言って病室を後にした。 他のスタッフは見ないようにした。色んな人と会話していたら、未練が募ってしまう。
3階のローカールームに入り、自分の私物を紙袋に入れた。エプロンが1枚。駆血帯、ナースキャップにつけるピンバッジ、自分でも忘れていたものが結構あった。それを持って、また2階に降りた。 でも、これで全てが終わったわけではない。私は、今日とっさに思いついて物を取りに行ったので、鍵を持って行かなかった。貴重品が入っていない時は鍵をかけていなかった。だから後日また鍵を持って行かなければならない。物事を終わりにするって大変な作業だなと感じた。人との関わりを断ち切り、挨拶をし、自分の物を整理して。そうして、次の段階に進まなければいけない時期があるのだと感じた。
明日は祭日だけど、デイケアの仕事がんばって来ます。
↑寂しいのでなんか書いてください。
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