民謡と言えば、「八戸小唄」しか知らない。 ほかにもなんとなく知っているものが数曲あるが、歌詞がわからない。
入院患者に、Uさんという人がいる。 岩手の出身で、民謡が大好きな、老女。
去年入院した時は動けたのに、今年になって「歩けない。動けない」と言うようになった。88歳と高齢でもある。 トイレに歩くこともリハビリをすることもおっくうで、動きたくないようだ。 でも・・・・私が「歌おうか」と言うと、目が輝く。
去年入院した時に、一緒に八戸小唄を歌った。
大部屋でカーテンで仕切られたところに、ポータブル便器が置いてある。このまま歩かないと寝たきりになってしまうから、日中だけでもトイレに歩いて欲しいと言うのが、家族や私達の思いだ。
「私が支えるから、トイレまで歩きましょう。戻ったらまた一緒に歌いましょうか?」 と声をかけた。 自由にならない身体を起してもらいトイレまで歩かせた。(歌で釣ったわけではないがーー;)
「帰ったら歌うんだよね」 Uさんは念を押す。 「そうですよ」
私は八戸小唄の歌詞の3番は知らなかったので、Uさんに教えてもらい、1番から3番まで紙に書いた。
そして二人で歌った。
「唄に夜明けたカモメ〜の〜港〜♪・・・・・・・・」
同室の患者達から拍手をもらった。 「目の輝きが違うね」と他の患者達も言う。
Uさんは太くていい声をしている。
明日から4日〜5日外泊するらしい。 「帰って来たら、また一緒に歌おうね」と約束した。
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