| 2003年10月23日(木) |
「イル・ポスティーノ」 |
1994年イタリア=フランス 監督マイケル・ラドフォード キャスト マッシモ・トリイージ フィリップ・ノワレ マリア・グラツィア・クチノッタ リンダ・モレッティ
イタリアの小さな島に、祖国チリを国外追放された詩人パブロ・ネルーダがやってきた。 満足に水もない貧しい島で、父親のように漁師になることもせず仕事もない毎日を送っていたマリオは、詩人に届けられる手紙を配達することになる。 詩人の日々をかいまみるマリオ。 詩人に憧れるマリオとパブロのやりとりがとても良いのです。 パブロは言う。「詩は説明すればそれは、詩ではなくなってしまう。感じるものだ」 「どうしたら詩人になれるか」というマリオの問いにパブロは「入り江をゆっくりと歩きなさい」と言う。島の入り江を一人歩くマリオ・・このシーンもいいなあ。 学生時代、自分では詩人だと思っていた私なので(汗)こういうシーンがたくさんあって嬉しかった。
やがてマリオは食堂のベアトリーチェに恋をする。 パブロが友人に送るテープを吹き込むとき、この島で一番美しいものは?と聞かれたマリオは迷わず「ベアトリーチェ」と答えて。 ものすごく一途でね、悲しいくらい。
マリオとベアトリーチェは無事に結婚し、詩人はチリに帰ることが出来たのだけれど、友人だと思っていたマリオには手紙もこない。このあたりはちょっと悲しい。決して忘れていたわけではないと思いたいのだけれど・・・ マリオが詩人が残していった録音機で“島の音”をとるシーン、これがすっごく素敵なんです。 入り江を渡る風の音、打ち寄せる波の音、教会の鐘の音、そして、愛するベアトリーチェの胎内にやどる命の音。 これはひとつの詩ですよね〜。
取り立ててものすごく美しい景色があるというわけではないのだけれど、美しいと感じる島の風景、マリオやパブロ、郵便局長やベアトリーチェ。演じる人々もみんなとても存在感たっぷりで。 ひとつひとつのエピソードもどれも忘れがたいものばかりなのです。 ラストは切なくて、泣いてしまいましたが・・・。
マリオを演じたマッシモ・トロイージさんは、病気のためこの映画を撮ったあとで亡くなられたそうです。 素敵な映画をありがとう、あなたのマリオは最高でした。
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