| 2003年09月27日(土) |
「トォーク・トゥー・ハー」 |
2003年スペイン 監督ペドロ・アルモドバル キャスト レオノール・ワトリング ハビエル・カマラ ダリオ・グランディネッティ ロサリオ・フローレス ジェラルディン・チャップリン
交通事故で昏睡状態のまま眠りつづけるアリシアと彼女を4年間介護してきたベニグノ。彼女の身の回りの世話はもちろん、日常の出来事や見てきた舞台や映画の話をつねに語りかける彼。 眠っているアリシアがとても美しくて。ほんの少し口をあけてまるで彼の話を聞いているかのような横顔、横たわるからだの線の美しさ。 体を洗ったあとで、ふわっとかけられる薄いサテンのような布地の服。白い腿をマッサージしてゆくベニグノの指のその確かな動き・・神秘的なのに、どこか官能的でどきどきしてしまう。
一方、マルコもまた昏睡状態に陥った恋人リディアに付き添っている。しかし、彼は彼女に話し掛けることが出来ない。困惑する彼にベニグノは声をかける。 「話し掛けて。女性の脳は神秘的だから」
ベニグノが彼女に対する絶対的な愛ゆえにか、してしまった行為は決して許されることでは無いと思う。 でもそのことが生み出した奇跡に・・なんとも複雑な気持ちになってしまった。 ベニグノがマルコに向かって、君を抱きしめたいと言い、ガラス越しに手を合わすシーンには思わず涙がでてしまった。 このマルコが、すごく優しい人なんです。蛇を見ては昔の彼女を思い出して涙し、バレエを見たり、歌を聴いても涙する・・ そんな彼もベニグノと同じように孤独を感じていたから。
おすぎさんのように100年分は泣けなかったな〜。 ラストに少し光が感じられてほっとしたくらい。アリシアとマルコの間におかれた椅子。それはベニグノの席。 もし出来ることならば、彼のことを語って欲しい。どんなに彼女を愛していたか。 でももしかしたら、彼女は感じていたのかもしれないなあ。 記憶の中で。「女性の脳は神秘的だから」
劇中いろいろなバレエや舞台、サイレント映画が登場します。 それがどれもとても印象的。サイレント映画の「縮ゆく恋人」のあのシーンには驚きましたけど(汗)子どもと一緒だったので・・・
観終わってからも、いろいろ感じさせる映画、たぶんまだまだしばらく余韻に浸ることでしょう。
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