静かな足音がする。 ドアの前で逡巡する気配。 …ああ、ユーキ様だ。 さっきドアの前で立ち止まって、また遠ざかって行った足音はどくたあさん。 やだな。 そんな風にされると出て行きづらい。
しばらくおいて、躊躇うようなノック。 「どうぞ、ユーキ様」 遠慮がちにそぉっと顔を覗かせて、私の様子を見てから安心したように笑った。 「ちょっと相談があるのですけど…。今いいですか?」 「はい。大丈夫ですよ。…あ、窓開けましょうか。天気も良さそうですし」 大きく開けた窓から、ひんやりした風。 ああ、空が高い。
「相談って…、めずらしいですね。私が相談することはあるけど」 「実はすこし国を出ようかと思っているんですよ」 あの時以来、ユーキ様はプリエスタを出ていない。 「何かあったんですか?」 「…何も。ただマーナさんを見ていて、ちょっとうらやましくなっただけですよ」 胸の前で組んだ腕を見つめながら、深呼吸する。 「実は出国の届け、出してしまったんですけど…革命の呼びかけが」 「革命ってプリエスタで?それ、出ちゃって良いんですか?」 小さく頷いて、笑う。
「結果を見届けるまでもないでしょう。多分…いえ絶対に」
もう一度、こちらを向いて笑う。 「私もベルヌを出ますけど、何処かへ一緒に行きます?」 「そうですね。…でも今回はひとりで行きますよ。気楽にのんびりと」 「あ…じゃあこうしません?」
ナイショの約束。
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