いぬぶし秀一の激辛活動日誌

2004年10月08日(金) 区立幼稚園廃止条例に賛成討論

本日は区立幼稚園廃園条例につき、会派を代表して以下のような『賛成討論』を行った。討論とは、自分の意見と反対の意見を論破して、同調させる意味だが、実際には『意見表明』に使われることが多い。今回は、賛成に私のみ、反対に共産党、緑の党、生活者ネットワークが討論を行った。

 民主・自由・未来は、ただ今上程されました第75号議案大田区立幼児教育センター条例及び、第76号議案大田区立幼稚園条例を廃止する条例に賛成の立場から討論いたします。
 わが会派は、本年5月、区長与党でありつつ、常に是々非々、区民の立場で議論することを目指し民主党議員5名、無所属議員1名、自由党1名が集い結成されました。
 今回の区立幼稚園廃止問題は、7月26日の計画発表から2ケ月余りで議決しようというお役所仕事にしては、めずらしいスピードですすみました。私たちは、今回の計画案が、拙速に決定されないよう、8月初旬、日本共産党、緑の党、ネット無所属連合所属の議員と会合を持ち、こども文教委員長に申し入れをおこなったのです。
 大田区議会史上、与党会派が野党会派と連名で申し入れを行うなど、過去に例がないと、多くの他会派議員、区職員からご忠告をいただきました。しかし、委員長や他の議員のご協力もあり、その後の委員会審査は、かってない程、議論し、時間を費やすことができました。しかしながら、5年後の廃止条例を、本定例会で可決すべき合理的理由は見当たらず、また決して議論を尽くしたとは言いがたかったのであります。そこで、我々は、10月4日午前9時55分、すなわち委員会開会5分前まで、賛成、反対、継続と会派内で議論を続けました。
 ある議員は、地元から幼稚園がなくなるという事態に、態度を決めかねて悩みました。他の議員は、支援者、町会幹部から反対するよう懇願されました。さらに、他の議員は、地元を歩く度に『廃園しないで』と声をかけられました。
また、区立幼稚園PTAをはじめとして、多くの団体、区民が反対運動を繰り広げ、区議会や区政のあり方に疑問と不信をなげかけました。
 このような状況のなか、わが会派は、委員会開始5分前に賛成の意思決定を行ったのです。この決定が、本条例の可決に大きな影響を与えるであろうことに鑑み、7名はかってない程議論し、悩み、この結論を導き出したのです。なぜなら、こども文教委員会の委員のうち、明確に賛成を表明されていたのは、自民、公明の4名であり、その他の会派3名と我が会派が継続を主張すれば、議案は継続となり本会議に上程できなくなってしまうからです。このような重要な立場を理解しつつ、我が会派は賛成するものであります。
 決定のプロセス、拙速さには疑問が残るものの、区立幼稚園廃園は『民に出来ることは民へ』との構造改革の流れ、さらには、幼保一元化の中、避けては通れない道でもあります。言うまでもなく、行政サービスは区民が公平に受けれるべきものであるはずです。しかしながら、私立幼稚園に通う保護者への税金からの補助は、園児一人当たり年188,000円で、園児は8650人。反面区立幼稚園にかかる税金は、園児一人あたり672,000円。園児は585人。同じ区民である保護者に対して、不公平であるのは明白であります。
 また、現在、同じ子どもを育成する施設でありながら、幼児教育を行う「幼稚園」と保育に欠ける児童を保育する「保育園」は、法制度上厳格に区分されております。現実には、「幼稚園」で預かり保育を実施したり、「保育園」で幼児教育に力を入れるなど、二つの制度における保育環境の差異は大幅に縮小しているにもかかわらず、「幼稚園」は文部科学省、「保育園」は厚生労働省と所管官庁が分かれ、両者の制度的な壁は厚く残っています。
 千代田区では、平成14年4月、「幼稚園」と「保育園」双方の要素を取り入れながら、両園の枠を越えた新しい幼保一元園である「いずみこども園」を創設いたしました。しかし、この「いずみこども園」も、幼稚園教諭と保育士の役割を区分したり、「幼稚園」「保育園」双方の認可を取得するなど、現行の法制度の仕組みを踏まえたうえで創設した施設であるため、完全な形での幼保一元化園とはなり得ていません。
 文部科学省と厚生労働省の合同検討会が8月下旬に発表した『幼保一元化』のあり方でも、保育園でもない幼稚園でもない“第三の形態”の総合施設について、親の就労の有無は問わずゼロ歳児から5歳児を対象とすることが盛り込まれました。
保護者の就労形態等だけで子どもの育成環境を区分する仕組みでは、新たな時代の要請には到底対応できません。そこで、新しいスキームを用意し、子どもと保護者の多様なニーズに応えていく必要があります。
 このような要請の中、7月以来、再三にわたる教育委員会との意見交換の中で、我が会派が主張した区立保育園全園をこの幼保一元化とするためのスキームが、構想案に織り込まれたことは、大いに評価するものであります。
国は、平成成16年度予算で、公立保育所運営費1,661億円を一般財源化いたしました。このことは、歳入減の危険性をはらんでおりますが、反面、地方自治体独自の幼児教育施設運営の大きなチャンスでもあります。本区の幼児教育センターが、このチャンスを最大限期待するものであります。
 最後に、本条例案に反対されている会派、議員の皆さん、さらには区民、関係者の皆さんにお訴え申し上げます。本案が、『廃園先にありき』の後付けに思えること、発表から2ケ月余りで決定されようとしていること、管理の理論と幼児教育がごっちゃに議論されたことなど、今日までのプロセスには、いささかの疑問が残りますが、今後廃園までの間、区民、保護者、現場の教員、保育士、議会、行政などと徹底的に議論を尽くし、幼児教育センター構想が真に大田区の未来を担う子供たちのために機能するよう、共に研究していこうではありませんか。
 以上申し述べましたように、我が会派所属議員の苦渋の判断、さらには多くの心配されている保護者、区民の熱い熱い思いを胸に賛成討論といたします


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