雪さんすきすき日記
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2016年09月10日(土) 「たそがレ時ノきみニ」のこと

 昨日は帰宅後に横になったら、日付が変わるまで寝てしまった。おかげで、夜中から呑む羽目に。

 今日は10時頃起床。疲れが全然抜けないのでずっと寝ていたかったが、天気が良いので起きて布団を干すことにした。

 「たそがレ時ノきみニ」(まぐろねぎとろどん)をプレイ。
 カイブツに襲われて影の上しか歩けなくなってしまった少女が、奇妙な石柱が立ち並ぶ荒涼とした世界で迫りくる「本当のヤミ」から逃げまどうアクションゲーム。
 画面奥に向かって日が沈み、石柱が手前向けてに影を作るので、少女はその影を伝って画面奥に向かう。日が沈むにつれて影は長くなるので、通れない場所にも時間が経過することで影ができる。
 床のスイッチの上でアクションボタンを押すと、石柱が移動したり倒れたりと、様々な変化が起こる。それにより道が開けるのだが、罠の場合も稀にある。また、いくつかの変化を組み合わせないと先に進めないような仕掛けもある。
 影を伝って面の最後にあるゲートに到達するとクリアとなり、下から迫る「本当のヤミ」に追いつかれるとゲームオーバー。

 先ずは、日の高さで影の長さが変わるという自然現象に、影の上しか歩けないことと、追いつかれたら終わるという2つのルールを付与した着眼点からして見事。石柱の影が作る道は時間の経過と共に刻々と変化するが、石柱の配置からある程度は予測は付くものの、やはり実際に変化がもたらす意外性に驚かされる場面が多々あった。特に、影は一度できればずっと通れるものだと思い込んでいたところに、斜めの石柱の影の動きがそれを覆してくれたことには目から鱗が落ちる思いであった。
 さらに、石柱が動いたり倒れたりという地形が変化する仕掛けが、その意外性をより一層高めて大きな刺激となった。石柱が動くという変化1つとっても、途切れた影を繋ぐ、塞いだ通路を開く、影と共に移動するようゆっくり動くなどと様々な種類があり、それ以外にも風車の羽根がつくる影が羽根の回転と共に動いたり、薄い板状の石柱が90°回転して影を作ったり倒れて橋になったりと、影を作ることに対して多彩な発想が盛り込まれている。これらの影が作る意外性と面白さは、他に類を見ないほど斬新であった。

 黄昏時という寂しさや不安を煽る時間帯をゲームの雰囲気づくりに上手に落とし込んでいるところもまた見事。赤く染まった空、奇妙な石柱、少女以外に生き物の存在感が無い風景、そして少女を引きずり込もうと画面下から迫りくる数多の黒い手。逃げなければならないという焦燥感を抱かせるには絶好の舞台であり、ゲームの目的意識もこの上無く明確に認識することができた。そして、影ができるまで待機したり、仕掛けの操作により一度進んだ道を後戻りしたりと、本当のヤミとの距離が縮む行動を取らなければならない面構成が焦燥感を更に煽ってくれる。また、本当のヤミが近づくにつれて大きくなるざわめきのような効果音がとても不快で、とにかくこの音から少しでも離れたいと思わせるのが秀逸に感じられた。せっかく稼いだ時間がただ待つことで浪費されることに対しては、焦燥感に加えて絶望感や苛立ちといった負の感情が沸き起こってきて、ここまで感情に働きかけるゲームであったかと驚きを禁じ得なかった。

 後半になると、石柱の配置の複雑さが経路の認識に影響を及ぼしているところが気にはなったところ。あと、アクションボタンの反応が悪くなるのも割と頻発する。切羽詰まっときにも発生するので困った。

 影の持つ性質を活用したシステム、そのシステムの幅を大きく広げる仕掛け、黄昏時への不安や闇への恐れなど本能的な感情に働きかける設定と演出と、いずれも独創性の高さと完成度の高さ両方に目を見張るものばかり。凄いという言葉が自然と口から出てくる素晴らしい作品であった。


氷室 万寿 |MAIL
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