小梅の日記

2002年11月27日(水) いちごミルクのおはなし

今年も暮れが近づいてきた。
もういくつ寝るとお正月…まあその前にクリスマスが
あるか。クリスマスと言えばサンタクロースにプレゼント。
子供は枕元に靴下を置いて、サンタクロースからの
プレゼントを楽しみに眠りにつく。
サンタクロース…信じていましたか?
小さいころ、どういうわけか僕はぬいぐるみが
大好きでした。一番のお気に入りはミッフィーと
お手ごろサイズのコロコロ丸い像のぬいぐるみ。
今思えば恥ずかしい話だけど、毎晩そのお気に入りたちと
寝床に入っていた。その像のぬいぐるみが憶えている内で
一番古いと思われる、サンタクロースからのプレゼントだ。
朝、起きたらラッピングされたものが枕元に…なかには
丸いかわいい像のぬいぐるみが1つ。
ああ、サンタクロースからのプレゼントだ
いい子にしていてよかった。本当にそう思った。
そのぬいぐるみは、僕がぬいぐるみと寝なくなるまで
毎日夜一緒に寝た。

物心がつくかつかないかという歳の頃
僕はクリスマスとサンタクロースから卒業した。
もうなんとなくサンタクロースの正体に気づき始めたころだった。
でもまだ自分の気持ちに整理がつかず
もしかしたらいるかもしれないと強く思っていた頃だった。
朝、目がさめるとベッドの枕元の手すりに
紙で作った小さな袋がセロテープでひっつけてあった。
袋には筆ペンでメッセージがつづってあった。

「サンタクロースはこなかったよ ごめんね
    おとうサンタクロース・おかあサンタクロース」

もうほとんど信じてはいなかったけど
その朝は涙が止まらなかった。袋いっぱいに入っていた
サクマのいちごミルクをほおばって泣きながら寝た。

まあ、もちろん今になっては信じるも信じないもないけど
この文章を書いている内にその時子供ながらに受けた
ショックというか絶望というか…そういうのを思い出してしまって
ちょっと泣いてしまった。

聞いた話しでは、サンタクロースはコカ・コーラが
商売のために作った夢の人物だとか。
あのサンタクロースの衣装の赤と白は
コカ・コーラのイメージカラー。
でも、そんなことはどうでもいい。
サンタクロースは僕に像のぬいぐるみをプレゼントしてくれたのだ。
僕はそのぬいぐるみが一番のお気に入りでいつも一緒に寝ていたのだ。

人間は成長するにつれ、色々な社会の中に入り
影響されることでまた精神的に大きくなっていく。
かく言う僕自身、ぬいぐるみと寝ていた子供から
今では社会人として生きているではないか。
愚痴をこぼし、上司にしかられ、毎日日が変わる寸前まで
働いている。そういった子供の夢とか希望という世界から
随分ながい間はなれていた。
今日思い出と一緒に流れたほんの少しの涙は
ただサンタクロースの正体を確信した時の気持ちを思い出した
からというわけではなく、大きくなるにつれてそういう
夢や希望の心をわすれてしまっていた自分に気がついた
からじゃないかなと思う。

そのことに気づいたから、明日からどうこうなるというわけでもないけど
大事なことを思い出せて本当によかったと思った。

ちなみにどうしてサンタクロースがいないと気づき始めたかというと
テレビ番組でサンタクロースにふんしたおとうさんが
子供の枕元にプレゼントをこっそり置くシーンがあったからとか
大人ぶって「サンタクロースなんかいないや」とか考えていたから
というわけではない。ある年のクリスマスイブにあるモノが欲しいと
サンタクロース宛に手紙を書いて寝たところ、それが見事に
翌朝枕元に置いてあったからだ。

それは…ドラえもん(ファミコンのソフト)。

今思えばあの頃ファミコンのソフトといえば一本
4、5千円。親も相当痛い出費だったと思うよ(笑)。
あの年のクリスマスイブは朝から熱があってぐったりしていたんだけど
お父さんが仕事に出る前に新聞広告を見ながら
「これ欲しいな〜」なんて言っていた。確信犯である(笑)。
それがクリスマスの朝枕元にあったら…
それはもういやでも気がつくでしょう(笑)。

そうそう、僕の一番の宝物だった像のぬいぐるみ。
確か小学校のころ、親戚の子供にあげてしまったか
もしくは捨ててしまったか…。
なんだか急に未練が出てきたなあ。
あのぬいぐるみ、今あったらすごく心の支えになるんだけど
まあないものはしかたないか。そういえばあの像
背中に風邪マスクみたいな形の布の鞍(クラ)がついていたなあ…
ああ、もう一度会いたい。

う〜ん…今日の日記の題名は改めまして
「像のぬいぐるみとサクマのいちごミルク」
の方が適当だな。なんだか夢のあるようなないような
微妙な内容ではあるが、みんなにも小さいころの
クリスマスの思い出とかあるんじゃないかな。
思い出してみると案外大事なことに気がつくかもよ。


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小梅