パラダイムチェンジ

2003年05月12日(月) 進化するゴジラ

とは言っても、今年の暮れ、暴れまくって壊す場所を丸ビルにするか、
それとも汐サイトにするか、それとも六本木ヒルズにしようか悩んでい
るかもしれない着ぐるみ(失礼)のことではなく。

メジャーリーガー、松井選手のことである。
松井選手の動向に関しては、読売新聞のフォロー記事が面白いので、
WEB上で時々読んでいる。

さて、松井選手。
その一挙手一投足ならぬ一打席一投足が注目され、ホームランを打てば
歓喜し、打席不振におちいれば、心配される。
ニュースのスポーツコーナーでも、国内のプロ野球情報より優先して
松井選手を筆頭にしてメジャーリーグ情報が流される。

その一喜一憂ぶりは、タマちゃん並みといっても過言ではないかも
しれない。

個人的には、今年、松井がメジャーでどれだけの成績を残すのか、もち
ろん楽しみにはしているけれど、でも、そんなにあせんなくてもいいん
じゃないかな、って気もしたりする。

なぜなら、今までの彼のキャリアの中で、松井選手は年数を増すごとに、
問題を克服して、進化し続けてきたからである。

そのことについて二宮清純「最強のプロ野球論」 から引用してみる。


 プロ入り以来、彼のスプリング・キャンプでの練習ぶりをずっと見てき
たが、感心するのは、毎年、バッターボックスでのテーマが違うことだ。
たとえば97年の松井は極端なくらいホームベース寄りに立っていた。
あらゆるボールを苦手なインハイに見立て、それを狙い打った。ライオ
ンズからジャイアンツに移籍してきたばかりの清原和博がインコースの
ボールを嫌い、アウトコースのボールを気持ち良さそうに打ち返してい
る姿とは、あまりにも対照的だった。

 インハイ打ちの成果はすぐに現れた。97年、松井はヤクルト・スワ
ローズのホージーの38本に次ぐ37本のホームランを記録したが、そ
の三分の一が内角か真ん中から高目のボールだった。

 メジャーリーグではバッターの得意なコースをホットゾーン、苦手な
コースをコールドゾーンと呼ぶが、松井の場合、インハイのボールは明
らかにホットゾーンであり、ピッチャーにとってそこにストライクを投
げることは自殺行為にも等しい。

 バッターにとって、最も打つのが難しいといわれるインハイの速いボー
ルを、いとも簡単に攻略してみせたところに、松井の非凡さが見てとれ
る。(略)

 インハイ打ちは克服した。名実ともに最強打者への道を歩み始めた松
井だが、実は思わぬところにコールドゾーンが存在する。驚くことにイ
ンローとアウトローのボールがフェンスの向こうに届いていないのであ
る。

「バットがボールに当たりさえすれば、僕の場合、どこだって入るんで
す。強いスイングよりもタイミングの方が大切なんです」
 と口ぐせのように言う松井だが、これはどういうことなのか?思い当
たるフシはただひとつ。97年は、インハイを攻略しようという意識が
強過ぎるあまり、実際のストライクゾーンよりもボールをひとつ分か二
つ分、高目に設定したのではないだろうか。(略)

 それが最も顕著に表れたのが97年の10月である。スワローズのホ
ージーとホームランキングをめぐって激しいデッドヒートを展開した松
井は、この月、1本もフェンスの向こうに打球を運ぶことができなかっ
た。(略)

 この頃、スワローズのピッチャーたちの松井への攻めは徹底していた。
キャッチャーの古田敦也は、インサイドにはボール球のストレートのみ
を投げさせ、腰を引かせておいて、勝負どころではアウトロー、インロ
ーにボール気味の変化球を要求した。
 この配球パターンに松井はまんまと引っかかった。バッターボックス
で筋肉が硬直している様子が手に取るようにわかったものだ。(略)

 この反省を踏まえて、98年のスプリング・キャンプではアウトロー、
インローのボールを万遍なく打ち分ける松井の姿があった。(略)



あえて、この引用に付け加えるとすれば、昨年、松井選手はホームラン
50本を打ち、そして三冠王まであと一息、の本人のキャリアハイの成
績をおさめた。

97年終盤、松井を見事に封じ込めることに成功した古田選手をして、
松井には投げる所がない、とまで言わしめるまでに進化していったのだ。

だからもしも今年、彼の成績が思ったほど伸びなかったとしても、
個人的には来年、どんな風に更に進化していくのかという方に興味が
わくのだ。

ついでに言えば、今年はイチローが「自分自身の最高の成績を残したい」
といい、松井選手に関しては「100%意識している」と言い放つ彼の
今年の活躍ぶりを楽しみにしたいなあ、と思うわけである。


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