パラダイムチェンジ

2002年12月01日(日) AIKI

今日は師走の始まり、映画の日。そして愛子さまの誕生日であり、
自分の誕生日でもある。
誕生日おめでとう、俺。

さて、映画の日に生まれていいこと。それは自分の誕生日は映画が
半額で見られるって事。
なので、この日はやっぱり映画を見ることが多かったりする。

今回見たのは、AIKI。TRICKと最後までどっちにしようか
悩んだんだけど、TRICKはまだ、見に行こうと思う機会があるかも
と思ったので、こっちを選択。

さてAIKI。おそらく全然知らない人が多いだろうと思うので、
ちょっとだけアウトラインを説明しておくと、加藤晴彦主演の真面目な
映画である。なんで真面目か、とわざわざ付け足した訳は後で述べる。

ボクシング新人戦を控えた若者が、ある日交通事故で、脊椎損傷、
すなわち下半身不随の車椅子生活となってしまう。
かつての友達にも心を閉じてしまい、すさんだ生活を送っていた若者が
新たな人たちと、そして車椅子でも可能な古武道、合気柔術と出会う
ことで新たな可能性を見いだしていくというストーリー。

って、アウトラインを説明しても、この映画の素晴らしさは多分
伝わらないと思う。
この映画の魅力は、そのストーリー展開にあるわけではなく、映画が
伝えたいと思うメッセージの方にあると思うから。

とりあえずこの作品は、個人的なツボにはまってしまう内容だったのだ。

さて、この日記を見てくれている人の周りには、残念ながら?
下半身不随だったり、車椅子生活の身体障害者と呼ばれる人達は
いないかもしれない。

個人的には病院で働いていた時代、リハビリで勤務してたことも
あってそうした人達と接する機会が多かった。
ここでちょっとだけ、身体障害者になってしまった人達に触れると、
基本的に、一筋縄でつきあえる人達では、なかったりする。

ある日突然、病魔か事故によって、自分の身体の自由がうばわれて
しまう理不尽さに面してしまった人達。

下半身不随の人の場合、リハビリすることで何とか手を使ったり、
補助的な装具などを使って、動くことはできるけど、しびれなどの
感覚的な異常が続くことは結構あるし、排泄関係のコントロールは
いくらリハビリを続けたところで、なかなか元には戻らない状態。

リハビリを続けて、必ずよくなるならいいけれど、最終的に障害は
残ってしまうことが多かったりする。
そのため、自暴自棄な生活を続けてしまう人も多いし、逆に本人が
いくら望んでも、リハビリの継続が打ち切られたりする場合もある。

先生には、この私の痛みはわからないでしょ、と何遍言われたか
わからない。
そう、彼らの苦しみを本当に実感することはなかなかできないのだ。

この映画では、特に前半部分、そんな車椅子での生活を余儀なく
されている人達の苦しみについて、彼らの目線でよく描写している
と思う。

そして、後半の目玉。主人公が合気柔術と出会うところ。
個人的には、とても興味のそそられる内容だった。

もともと自分の職業柄、気、や身体の扱い方には興味があるわけだが
そういう観点でこの映画を見ると面白い。
この映画だけで、ある意味合気柔術の入門ビデオとして流通しても
いいんじゃないかと思えるほど、合気柔術の世界に真面目に
踏みこんだ、内容となっている。

主人公が、合気柔術を習っているから形だけ真似しました、という
感じではなく、あくまで真面目に合気柔術を取り上げているのだ。

昔、ベストキッドって映画が流行ったとき、友達みんなでカベ塗りの
練習とか、やってみた記憶はないだろうか?
そんな感じで、合気柔術という今まではあまり知らなかった世界を
のぞき込むことができる。

また出てくる人達も、ヒロイン役のともさかりえをはじめとして、
実に魅力的な、少しすねに傷持つ人物として描かれていて、
個人的には好感が持てる。

話が地味だからか、それとも監督の人脈が豊富だったからか、
作品中の至る所で、意外な人がカメオ出演していたりするし。
永瀬とかね。

特にともさかりえは、この作品ではとても魅力的な存在だった。
ラブシーンとかもあったりするし。

ストーリー展開としては、結構地味な作品なんだけど、出来れば
いろんな人に見てもらいたいな、と思える作品である。
特に自分の生き方とかに、ちょっと悩んでいる人におススメ。


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harry [MAIL] [HOMEPAGE]

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