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2004年01月04日(日) 物の命の尊さ

はい、こんにちは。

はぅ、初仕事終了。
朝晩二コマ。やっぱり、久々の仕事は疲れる。
しかし、労働時間5時間程で根をあげていてはいかんぞ。
世の中にはもっともっとしんどい労働をしている人はなんぼでもおる。。。

実は今日、村のある女性のお葬式であった。
兄くんと同級生の娘を持つお母さんだ。
なくなったのは大晦日。50歳になったばかりと聞いた。
あたしたちが彼女の死を知ったのは、昨日のことであった。

引っ越してすぐ、兄くんの同級生の女子が同じ村にいることを知った。
良かった、その子のお母さんに何でも聞けると喜んでいたのだが、ばばが
「あの人は変わりもんで、人付き合いせーへんから、聞くのは無理やで。」と言った。
ふーん、そうか、それなら仕方がない、と諦めた。

それから2年が過ぎて、小学校の卒業式の時に学校でそのお母さんにばったり出会った。

「お久しぶりです。とうとう卒業ですね。」と声をかけた。
すると、「そうですね。今日はご苦労様です。」と返事が返ってきた。

それだけの返事だったが、話が出来たのがうれしかった。

それからは相変わらず話しをすることもなかったが、桜子の散歩コースがその人の仕事場だったので、見かけると目礼をした。
すると先方もきちんと目礼してきた。

彼女の仕事場は鶏舎だ。
村の真ん中にあって、いつも言ってるけど、すごい匂いを放っている。
その中で何百羽という鶏の世話と鶏糞の熟成の作業をしている。
そばを通っただけでも頭がくらくらするのに、密閉に近い鶏舎での作業はどれだけしんどかったろうなぁ。

いつもしんどい様子だっただ、ここ最近は様子がとっても悪かったらしい。
27日にちょっと横になると言ったきり起き上がれなくなって、29日に救急病院に担ぎ込まれて、診断の結果、菌が歯から目へ、そして頭へと回って、もう手遅れだと言われたんだと。。

そして、31日に息が切れたと。

どうしてそうなる前に病院に行かなかったんだろう。
そういう仕事をしているならなおの事、用心深くならなければならなかったのでは。。

もう亡くなってしまったのだから、言っても仕方ないけど。

ダンナさまは、外に仕事にいっておられるし、彼女は、一日も休むことなく鶏の世話をしなければならなかったわけだ。
鶏は、人が死のうが生きようが、卵を産み続けるわけだから。。

これだけ医療が進んでいて、人が長生きしているのに、なんで彼女は50歳でなくならなければならなかったんだろう。

人生50年は織田信長の時代だぞ。

葬儀の時、ダンナさまが喪主挨拶で

「人からは変わりもんといわれて煙たがられていたけど、ほんとは優しい家内でした。生き物が好きで、ヤギもカラスも飼ってました。
花も人の畑を借りて作るほどでした。
 家内がいなくなって、悲しいです。。」と泣いておられた。

あたしにはわかる。
彼女のそういうところ。

一度だけ、ヌートリアの話をうれしそうにしてくれたもの。

「ヌートリアって何ですか?」

「あはは、ねずみの大きいやつや。
 町から来た人はしらんやろね。
 餌付けをしようと苦労したけど、どうも用心深い。
 今度は餌を変えてみよう。」

目の奥がとっても優しかったのよ。その時ね。

               ◆◆◆

お正月に書く話題ではないか、とも思ったけど、これは、ちゃんと心に刻んでおく。
鶏舎は臭いけど、その中で、命かけて採卵している人がいる。
どんな食べ物にも生み出す人の命が吹き込まれていることをいつも忘れないでいよう。

ここにいなければ、分からなかった、物の命の尊さよ。

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