□■ あたしのお教室 ■□
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はい、こんにちは。親父どの。
なんだか毎日忙しくてごめんよ。 写真の周りのほこりも写真がちょっと曲がっているのもちゃんとわかってたんよ。 今日はね、やっとゆっくりそこいらを片付けることができるの。 お天気もよいしね。
久々にガラスをはずして写真を触ってみたよ。 うん、まだあったかいぞ。笑。 ガラスを綺麗にふいて。おー、つめたいぞ。はめるからちょっと我慢よー。
かーさんが、生きてる人が優先だから、法事はかえってこんで良いっていったけど、やっぱり、帰りたかったなぁ。 しかし、このくそ忙しさはなんだっ。 とーさんはいっつもにこにこ笑ってゆったりしてていいなぁ。
ロング・ピースはね、かーさんの荷物の中にはいっとったの。 かーさんが捨てられんっていうから。 あんたが好きにしてっていうから。 私も捨てるチャンスを失ったからね。 こうやってずっととうさんの前においとくから。 好きな時に吸いや。ちゃんと火の始末はしてよ。 よく寝タバコしてかーさんにおこられとったし。笑。
さて、今日は、美容院にいくつもり。 父さんゆずりの髪やから白髪がいっぱいでてきたんよ。 まったく、気が短いとここか、神経質なとことか、癇が強いとことか、プライドが妙に高いとことかほんとによく似てるよ。わたし。
じゃぁ、行って来るよ。 散歩するんやったら、暖かくしていかんと。 ここは九州と違って寒いぞ〜。
◆◆◆
法事の朝、姉がびっくりして電話してきた。
「とうさんが夢にでてきたんよ。 これで二回目。 ばたばた法事の用意しとったら、二階からすたすた降りてきて 千鶴、なにしてるんや。いそがしそうやね、って。」
「えっ???とうさんこそ、なにしとったん。 今日はとうさんの・・・。」
ねーさんはそれ以上言えなかったって。 で、父さんはいつものように白いカッターを着て、ブラウンのジャケットを羽織って、帽子をかぶって、軽く右手を挙げて、そいじゃ行って来る、って当たり前のような顔をして散歩にいったらしい。 姉は飛び起きて、二階に行ったって。 もしかしたら、生きて二階に潜んでいたんじゃないかって。
それを聞いて、妹も母も、大笑いしたんだって。
私はなぜか涙でたよ。 夢にはまだ一度もでてきてないもんなぁ。 ねーさんに「羨ましい。。。」って言うと笑っていたみたいだったけど 電話ではどんな顔してるのかわからないもんね。。
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