Diary of Private Babaouo
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| 2003年01月02日(木) |
トノバン、ワイラー、そしてビートルズ |
昨年(2002年)3月、フォーク・クルセダーズの「イムジン河」というシングルが発売されました。1968年、彼らのデビューヒットにしてミリオン・セラーとなった「帰ってきたヨッパライ」に続く第二弾シングルとして企画された作品で、朝鮮半島の歌のカバーでしたが、当時のデリケートな情勢の中で発売中止となりました。今回、30年以上の月日を経てようやく公式発売にこぎつけたということになります。とても美しいメロディを持つ曲で、そもそもトノバンこと加藤和彦氏は、そのメロディの美しさに惹かれてレパートリーにしていたのだそうです。急に発売中止になってしまった「イムジン河」のかわりに加藤和彦氏が東芝EMIの社長室に閉じこめられて急遽書き上げた曲が「悲しくてやりきれない」でした。発売中止のおかげで、日本のポップ音楽史に残る名曲が1曲生まれたのですから、それはそれで意味があったとも思います。「イムジン河」の今回のシングルには「悲しくてやりきれない」も収録されています。加藤和彦氏がとても強く「イムジン河」を意識して作ったことがよくわかります。
加藤和彦氏がこの少し後で書いた曲に「あの素晴らしい愛をもう一度」があります。 最近では桑田圭佑がカバーしていました。私が加藤氏を大好きになったのは、それぞれ別のルートで耳にしていた全然違う3曲「帰ってきたヨッパライ」「悲しくてやりきれない」「あの素晴らしい愛をもう一度」が、実は全て同じコンポーザーの手になる曲だと気づいた時。 音楽には限りない「自由」があって、それを豊かに楽しめばよい、ということを彼に教えられました。
映画の世界でも同じような体験があります。戦車競争で有名なスペクタクル史劇「ベン・ハー」、観光ラブ・コメの原点(?)「ローマの休日」、そして、美女を蝶のように収集しようとする男を描き、サイコ・ホラーの古典と位置づけられる「コレクター」。 どれもそれぞれ違う意味で面白く、始めから最後まで飽きさせない名作ですが、これがウイリアム・ワイラーという一人の監督の作品だと気づいた時には、やはり感動を隠せませんでした。ワイラーは面白い映画を追求し、その結果ジャンルを飛び越えてしまったのです。
そして、我々の音楽活動の出発点でもあるビートルズ。 ロックン・ロール、リズム・アンド・ブルース、カントリーはもちろんのこと、シャンソン、イージー・リスニング、エスニック、スカ、クラシック、あらゆる音楽の「良いところ」を遠慮なく取り込み、しかも、そのどれにも属さない「ビートルズの音楽」に仕立て上げ、その結果、50年代には一過性のブームと言われていたロック音楽に永遠の可能性をもたらしました。彼らの果てしなき好奇心と柔軟性は、常に変化し続けながら、成功もし続ける、という7年間の奇跡を生みました。 ビートルズの成功の意味についてひとことで検証することはできませんが、解散して30年以上たった今もなおベスト盤が世界中でナンバー1になってしまうことが、その音楽の普遍性を証明しています。
枠を打ち破りながら、普遍的なものを生み出してゆく。時には自分で作った枠さえうち破ってしまう。 自分の創造力をそういう照準に合わせて発揮している人たちの作品には常に未来を感じさせるエネルギーがあります。ビートルズはその典型ですが、日本にも、映画の世界にも、世界中のあらゆる表現の世界にそういう人たちがいます。 彼らの作品を逃さず味わいつくしていきたいものです。 それは必ず自分の中から発するエネルギーに変わるはずですから。
(JOSH)
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