403 Forbidden

2004年06月17日(木) 生まれ変わる

終電まであと1時間というところで、集中力が途切れてしまった。
同僚のアドバイスを素直に聞いて帰宅する。

途中で夕飯を食べるため定食屋に入り、食券を買うと、
奥で怒鳴っている客がいた。
なにが原因かはよくわからなかったが、
ビールを飲んで酔って気が大きくなっているのだろうか、
アルバイトじゃ話がわからんと店長を呼べとの一点張り。
どうがんばっても店長が来るには15分掛かるという店員の声も聞かず、
今来いとバカなことを言っている。

周りは、といえば、聞いているような聞いていないような、という素振りの
客ばかり。
僕も食券さえ買ってなければ店を出て行っても良かったのだが、
今このまま帰っても逃げたようで悔しい。
ということで、そいつをじっくり観察し始めた。
だが、あまつさえメモも取ってやろうか、と手帳を取り出したところで、
その男はいきなり、帰る、と言って帰ってしまった。

店員も客も呆然。

酒の勢いが弱まってきたのか、あるいは店長が来ると分かって
退散したのかはわからないし、そして僕は正義のヒーローでもない。
何もしなかった償いに、と、なにか店員に話し掛けて、
緊張でこわばった神経を解きほぐそうとも思ったが
余計なお世話かとやめた。

ただ一つ、食べ終わった後のごちそうさま、をいつもより大きな声で言った。

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梅雨の時期にふさわしい、高い湿度でねっとりとした空気の中、
流れ星はおろか、星も月も見えない空の下を歩いた。
数分前の事件を少し回想して、自分が店員だったらどうか、
店長だったらどうかをシミュレーションする。
そして、どちらにしても毅然とした態度でいられれば、
ああいう場合でも大丈夫だろうという結論に達する。

そこまで考えていたら、地下鉄のホームに着いたとたんに
どっと疲れが来た。今日は早く寝よう、と思いながら終電一本前の列車に乗る。
何度乗っても好きになれない穴倉を走り抜けながら、
僕は空の上の星々を想像した。
羽化するまえの蝉はきっとこんな気持ちに違いない。

そして僕は彼らと同じように、なまぬるい地下から地上へと這い出した。
その瞬間、大きく開く空に、大きく羽根が広がる様を想像する。
生まれたときのように。生まれ変わったように。

でも彼らとは違う。
僕はこの瞬間を何度も迎える。
僕は何度でも生まれ変わる。
そう考えていれば、なんでもできるだろう。


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