僕らの日常
 mirin



  硝子の心@鳥羽

ここは、屋上にある空中庭園。

少年達は我先へと展望台へ繋がる階段を駆け上がってゆく
そんな群に混じれない、ぼくは、クラスメイトの暁生と
2人で庭園内のカフェでお茶していた。
ギャアギャアと騒ぎ立てる生徒達に目をやると、その間を
スルリと猫のように2人の少年が軽く交して走って上がる
のが見えた。

"・・・月みたいだ。"

突然そう呟いたら、隣に居た暁生が怪訝そうな顔でぼくを
見た、さらさらと伸ばされ横手に1つに束ねられた金色の
長い髪は一見すると、少女の様な印象を受けるのに近くで
見ると、なぜかそんな気は失せて少年的感覚が彼に付き
纏っている。

「あぁ...あいつ。宇宙じゃんか」
「ソ・・ラ・・・?」
「そ。珍しい名前だから覚えてたってのもあるけど
あいつって、朝学組の貴公子の貴重なお友達だからな」

朝学組の貴公子?・・・あぁ...終司のことか、彼の言動は
いつも周囲の生徒達の反感を買っている。何が問題か?
あの嫌味の含んだ言葉と棘のある毒舌な言い回しだろう。

「貴公子様と友達なんて、どうゆう神経してんだろうな?」

答えを求められ少し苦笑する、言葉を濁すので精一杯だ。

"ぼくに答えなんて求めないで"

何も返せないから、他人同士の比較対象の違いなんて
そんなの、わからないんだ。自分自身が誰かの間でその
比較に入っているかもしれない、このぼくの足を見て
誰かが…きっと、そんな風に考えているのかもしれない。

気持ちの上での裏切り、たぶん1番近くの暁生にさえ
それは何も変わらない。呆れる程、なんて心の寂しい
人間なんだと思った。

2002年05月08日(水)
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