心の中にふる小雨
つめたくやさしくあたたかく
心の中にふる小雨
ひんやりと私をしずめてください
おさない日のこと
燃えるごとくに痛めた傷と
かなしみといかりの瓦礫を
しとしとと音もなくふりつづけ
荒野をあたたかく湿らせてください
私はひとり窓から今も見上げて
音もなくふりつづける小雨が
やってくるのを見ています
音もなくふりつづけて石を湿らせてゆきます
すずめたちは羽根をひろげて
木々の枝からこぼれおちるしづくを見つめています
手のひらにしとしととふりつづける水滴は
流せなかった涙の分だけ
私を湿らせて
もえる烈火を浸してゆきます
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