ひとりカラオケによく行く。ひとりカラオケというのは、平日の休日に特に何もすることがなく、かといって小遣い制の身で頻繁に買物に行けるわけでもなく、ギャンブルが趣味なわけでもなく、歌が趣味かと言われれば5・6年前に新宿や恵比寿でボーカルグループのメンバーとしてストリートや場末のバーで歌っていた経験もあるので趣味と言われれば趣味かもしれないので昼間からカラオケボックスに入り、「こちらにお名前を記入して下さい」と店員から言われて名前と年齢と希望時間と人数を「1」と記入して、僕の後ろに並んでいる客がカップルや小集団だったら多少気まずいが、気まずいっつったってこの人達と今後何かしら関わるわけでもなく、一生会わない可能性だって高いので気にすることはないと自分を励ましマイクが入ったカゴをもらって、「ドリンクバーはあちらになります」なんて説明されても二人でカラオケ行ったら一人がマイクのカゴ、一人がドリンクを持てるのであるが、一人でマイクのカゴを持ちながらドリンクバーでドリンクを準備するのがこれ結構大変で、右手にマイクのカゴ、左手にドリンク持ったら今度はエレベーターのボタンを押すのに四苦八苦して先程の後ろに並んでたカップルにボタン押してもらったりして情けないことこのうえないことはない。この人達と今後何かしら関わるわけでもないしと自分を励まし続けることを忘れずに部屋に入り、一服しながらキーの低い歌から選曲し、徐々に喉を慣らしていって歌いたくない時は休む。歌いたい時は思い切り歌う。納得いかない時はもう一度同じ曲を歌うという、往々にして社会生活は融通が利かないのだが、ひとりカラオケは融通が利きすぎて、融通が利いている状況を人は自由と呼ぶ。そして自由になればなるほど、孤独が鮮明に浮かび上がる。そんな鮮明な孤独を意に介さない人はひとりカラオケは孤独天国。本当の意味でのソロパート。でもたまには誰かと行きたい。 |