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国のない男


「国のない男」
カート・ヴォネガット著

友達に紹介され読んだ。
友達の紹介文はこうだった。

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音楽が好きなら読むべき。
ボブディランを聞く感じ。
もしくはブルーハーツを聞く感じ。
もしくは清志郎の詩を読んだ感じ。
(主観)

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他に例えがないほど、まさにその通りの本だった。
心が少し強くなれた気がした。

ユーモアと過激さが同居しているフレーズの数々
極めて冷静に権力に立ち向かうフレーズの数々

いつもポケットにこの本を入れておいて
心に刺さった言葉を都度読み返していたい。




【以下、カート・ヴォネガット「国のない男」よりお気に入りフレーズを抜粋】



アフリカ系アメリカ人がまだ奴隷の頃に全世界に与えてくれた贈り物は
とても貴重だと思う。
この音楽こそ今でも多くの外国人が我々のことをほんの少しは好きでいてくれる
唯一の理由だと言っていい。
この世界中に広がっている鬱状態によく効く特効薬はブルースという贈り物だ。


奴隷たちが絶望の処方箋を持っていたから自殺という疫病神をブルースを演奏したり
歌ったりして追い払っていたのだ。
白人の奴隷所有者たちはそれがなかった。
白人の奴隷所有者の方が自殺者が多かった。


サイコパスとは賢くて好印象を与えるものの、良心の欠如した連中をさす言葉だ。
サイコパスとは外面がいい。そして自分の行動が他人にどんな苦しみをもたらすかも
よくわかっているが、そんなことは気にしない。というか気にならない。
なぜなら頭がイカれているからだ。
サイコパス。これ以上にぴったりくる言葉がなさそうな種類の人たちがいる。


生きていて良かったと思わせてくれるものが音楽の他にもあります。
それは今まで出会った聖人たちです。


年寄りに聞こうなんて思うんじゃないぞ。
お前らとちっとも変わらないんだから。


男は戦争に行かないと一人前じゃないなんて
ひどい言い草だと思う。


どんな芸術においても一番大切なのは芸術家が自分の限界と
いかに戦ったかということだ。


その彼に、良い絵と悪い絵の見分け方を聞いてみたのだ。
すると驚くほど納得のいく答えが返ってきた。
「百万枚、絵を見るんだな。そうすりゃ間違えることはない」


進化なんてくそくらえ。というのが私の意見だ。
人間というのは何かの間違いなのだ。
我々はこの銀河系で唯一の生命あふれる素晴らしい惑星を
ぼろぼろにしてしまった。


政府や企業やメディアや宗教団体や慈善団体などが
どれほど堕落し貪欲で残酷なものになろうと
音楽はいつも素晴らしい。
もし私が死んだら墓碑銘にこう刻んで欲しい。

「彼にとって神が存在することの証明は音楽一つで十分であった」


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「国のない男」
カート・ヴォネガット著


素晴らしい本



2020年08月22日(土)

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