< 過去  目次  未来 >
ミシシッピ


BOB DYLANが2001年に出したアルバム
『”Love And Theft”』の中の
「Mississippi」

当時でBOB DYLANは70歳を超えていると思うが
精力的にアルバムを作成し、しかもこんな詩を書くんだと思うと
俺もいくつになっても正直に歌を歌っていこうと思う。




作詞・作曲 Bob Dylan
和訳 中川五郎


一歩一歩私は足を踏み外すことなく歩き続ける
君がこの先、生きられる日は限られているし
この私だってそうだ
時間だけが積み重ねられていき
誰もが閉じ込められ 逃げ場などどこにもない

都会はただのジャングル ひたすら勝負を続けるしかない
真っ只中に捉えられながらも必死になって逃げようとしている
私は田舎で育ち都会で仕事をしてまた
スーツケースをおろして腰を落ち着けて以来
面倒ごとにずっと巻き込まれている

君にあげられるものなんて何もない
これまでだって何もなかった
自分のために取っておいたものすらもう何も残っていない
空は激しく燃えあがり苦しみの雨の土砂降りだ

君が私に売りつけられるものなんてもう何もないよ
それじゃさよならね

私が表現力の限りを尽くし 知性の限りを尽くしても
君を君らしく輝かせてあげることはどうしてもできなかった
私がおかしたたった一つの間違い
それはミシシッピに一日長くいすぎてしまったこと

(中略)

私の船は難破して木っ端微塵となってあっという間に沈没してしまう
毒の海で溺れる私には未来もなければ過去もない
それでも私の心はへこたれてはいない
軽やかで伸びやかなままだ
私の道連れとなって絵旅を続けてくれたみんなに対する慈愛に満ち溢れている

誰もが働き続けている
まだ目的地にたどり着いていないのだとしたらね
みんなどこかに移動せずにいられないんだ

(中略)

うつろさは底無しで、土のようにひんやりとしている
いつだって戻ってくることはできるけど
何もかも全てをもとどおりにすることはできない
私がおかしたたった一つの間違い
それはミシシッピに一日長くいすぎてしまったこと



2019年10月10日(木)

 < 過去  目次  未来 >


MAIL