+++ 変わる物、変わらない物 +++2002年10月29日(火)
今日はお休みの日で、いつもの如く何の予定も無かった。 それでも余り引きこもっていると人間の根っこが腐ってしまいそうだったので、外へ出る事にした。 といっても、何の目的も見つからなかったので、母に何か用事は無いか尋ねた所、 銀行へ行ってきて欲しいといわれた。
母に頼まれた銀行の用を足すには、いつもとは違う方向へ自転車を漕ぐことになる。 家を出たのが11時ごろ。お日様も出ていて気持ちの良い天気だった。 用事を済ませて帰る道すがら、富士山が見えた。 田んぼがあって、柿の木があって、神社の鳥居、大山と富士山。 以前はそれだけだったのだが、今はちらほらと家の数が増え、何より目立つのは、マンションの一角。 所詮田舎町のマンションなので、さほど圧迫感は無いけれど、返ってそれが違和感を呼んでいる。
この道は、高校まではよく通った道だった。 その後、生活圏が変わった為滅多に通らなくなっていた。 久々にみたその風景は昔と微妙に違っていた。
家に帰って2階のベランダに干してあった布団を取り込む際に気付いた。 富士山が見えない。
小学生の頃、兄と一緒に使っていた2階の部屋からは、 夕方になると夕日を背にした富士山のシルエットがみえた。 しかし数年前に、1階の部屋へ自分の寝室を移して以来、 布団を干したり、部屋を掃除したり、何か用事を済ませるために2階に上がる事はあっても、 そこにあった富士山を眺めてみる事はなかった。
先ほど自転車で見た風景を、自分の家からもう一度見ようとしたら、 その高さと数を増した家々の屋根に阻まれて、 かつて綺麗に見えていた富士山が見えなくなっていたのだ。
鄙びた我が町も、それなりに少しずつ変わっているようだ。 便利になって、活気あふれる町になるのはうれしい事だけれど、 出来る事ならば、我が町には長閑な里の風景を残しておいて欲しい。 田んぼと、柿の木と、神社の鳥居と、大山と富士山。 それから、その景色を立ち止まって眺めて、美しいと感じることの出来る心を・・・
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