♪ ワーカー日記 ♪

2004年06月28日(月) T君への手紙 (がみがみ)

リクエストにお答えして、「あたらしいふれあい6月号」からの転載です。
決して、「6月も、あと3日。なのに更新が2日分しか・・・」
ってなことではないですので(^-^;;)。

めっちゃ長文です。

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T君、6才のお誕生日おめでとう。
お父さんとお母さんとおじいちゃんとおばあちゃん、みんなにお祝いをしてもらえて良かったね。

 初めて「愛の手」に掲載されたのは1才8カ月。
2回目の取材の時は大泣きでした。覚えてるかな?
その後2回も掲載されたのになかなか新しいお父さんお母さんを探すことができませんでした。
たくさんの友だちがお家に帰っていくのを、どんな思いで見送ってきたのだろうと思うと、申し訳ない気持ちでいっぱいになります。

 そんなT君に、やっと、本当にやっと、お父さんとお母さんを見つけることができました。
「お見合い」の日は6才の誕生日の1カ月前。
ホームの先生からは「明日、T君にお客さんが来るよ」と聞いてたんだってね。
どんなお客さんだと思ってた?「大事なお客さん」が来るのだと思ってくれていた、と思います。
だって、お見合いの日の朝、同じホームのちびっこたちに、「今日はオレのお客さんが来るから、みんな、いい子にしておけよ」と命令していたって、先生が言ってたよ。

 初めて「お客さん」に会った時の気持ちはどうだった?
園庭で遊んでいたT君に、お父さんとお母さんがそっと近づいて、
一言、二言、言葉を交わしてるのかなと思う間もなく、T君はお父さんの腰に、自分から抱きついていったんだったよね。
その姿は、「ずっと待ってたよ」という感じで、T君が抱きつく「ひしっ」という音が聞こえてきそうでした。
先生は「心配することはありませんでしたなあ」と笑っていたけれど、私は涙が出そうなくらい感動してたんだよ。
たぶんT君は、今日のお客さんが『特別な』お客さんだって分かってたんだろうと思います。
もしかしたら、「お父さんとお母さんが来る」って分かってたのかなあ。

 「お客さんとやる」って決めてた、ウルトラマンの粘土で遊んでた時、
他の子どもがお母さんの膝に乗ると、T君が「じろっ」って睨んでいたのに気付きました。
「僕のお客さんだ!」って思ってたのかな。
お父さんとお母さんが持ってきてくれた、たくさんのお土産。おじいちゃんとおばあちゃんからのお土産には「T君、早くおうちに帰ってきてね」という手紙がついてたよね。
気がつけば、いつのまにか「お客さん」は、自分たちのことを「お父さんは…」「お母さんは…」と呼んでたんだったよね。

 その日からお母さんは、T君と早く仲良くなりたいなあと思って、ホームにお泊りを始めたんだよね。
次の日の朝は、T君はお母さんのことを「おばちゃん」と呼んでたけど、
お昼頃から「お母さん」と呼んでくれるようになったと、お母さんから連絡がありました。
それから、お父さんのことが大好きだってことも。
だんだんと甘えも出せるようになって、お母さんと2人で行った銭湯から、おんぶをしてもらって帰ってきたこともあったよね。
18キロもあるからお母さんは大変だったと思うけど、T君は嬉しかったんだろうなあ。
ホームの近くで「みんなに見られたら恥ずかしいから下りる?」ってお母さんが尋ねたのに、「イヤ!」って言ったと聞きました。
やんちゃもひどくなって、お母さんの口にボールを突っ込んだり、お父さんの寝ている布団の上で思いっきりジャンプしたり。
実習中に一度、T君の前で、お母さんが泣いたのを覚えてる?
突然だったから、T君はびっくりしたと思うけど、あの時のお母さんはT君のことを、本当にかわいく思って、嬉しくて泣いてしまったんだって。

 いよいよお家に帰る日。みんな出てきて、拍手で見送ってくれたよね。
これまではいつも「見送る側」だったけれど、初めて「見送られる側」になったT君。どんな風な気持ちだったんだろう。
お見送りに行った私と中島さんも、「本当によかったねえ」と、またまた涙が出そうになったのでした。

 何もかも初めてのものだらけのお家はどうでしたか?
お父さんとお母さんとは少し仲良くなっていたけれど、友だちも先生もいない場所は、とっても不安だっただろうと思います。
夜、寝たくないって1時間近く泣きながら大暴れしたり、今すぐホームに行きたいってごねたり。
それから、哺乳瓶でミルクを飲んだり、家にあったベビーカーに乗ったり。
毎日おもちゃ屋さんに通って、あれもこれも買えってねだった話も聞きました。
それに、スーパーのゲームコーナーに毎日行って、1時間以上も遊んでくるってことも。

 お母さんもお父さんも、T君が言うことは何でも一生懸命聞いてくれてるよね。T君が、「こんなことすると叱られるかなあ」と思っても、お母さんもお父さんも叱らないでしょ?
T君ははこれまでいろんなことを我慢してきたし、T君と暮らせなかった6年間の空白を少しでも埋めたいなあと思って、頑張ってくれているんだと思います。
相変わらず、お父さんのことが大好きで、「おかあは、あっちに行け!」なんて言ったりするから、お母さんは少し寂しいなあと思ってるみたいです。
きっとT君は、お母さんのことも大好きで、「この人には、こんなことを言っても大丈夫だ」って思っているんだろうけど、できたら、もう少し優しくしてあげてね。

 お家に帰って1カ月半。おもちゃ屋さんでの買い物もゲームコーナー通いも、少しずつ様子が変わってきたと、お母さんから聞きました。
この間、T君の家に遊びに行った時、のびのびとしたT君の姿を見て、とても安心したよ。
「お父さんとお母さんにやってもらいたかったこと」をいっぱいしてもらって、6年分、しっかり甘えてね。

 本当に、長い間待たせてしまってごめんなさい。
誕生日に家族に囲まれて、ケーキを前に写ってる写真。
おもちゃを買ってもらって、満面の笑顔の写真。
そして、家庭訪問の時に私が撮った親子3人の写真。
それらを見ると、またまたまた涙が出そうになっています。

 初めてお家で迎えたお誕生日。 本当に本当におめでとう。  


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