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マーヴィン・ゲイにダメ人間っぷりを学ぶ - 2003年10月20日(月)

一昨日のことになるんですが、
やっとマーヴィン・ゲイの「here,my dear」(邦題「離婚伝説」)を買いました。
マーヴィンというと、一般的には口あたりの良いソウルミュージック、
=恋人の語らいの場にピッタリなBGMという捉えられ方が多いです。
ボビー・ブラウンのエロ・バラード「ロック・ウィッチャ」の歌詞にも、
その名前が引用されてるくらいですからね。
アメリカでもそういう認知のされかたしてるんでしょう。

でもその実、マーヴィンさんはちょっとおかしな方です。
ウツ病になり、人心の荒廃とエコロジーを訴えたかと思いきや、
恋人の目前で「一発やろーぜ」という曲をレコーディングしたり。
ステージ恐怖症で歌えなくなったりもしてたっけ。
で、極めつけなのが、30歳を過ぎた頃、
音楽やるのが嫌で嫌でボクサーに転向しようと、
本気で練習に励んでいたという事実。
完全に逃げちゃってるでしょ?
この人、絶対にダメ人間ですよ。

そんなダメ人間が78年に世に出したのが、この「here,my dear」。
実はコレ、当時の嫁さんと別れるために、
慰謝料稼ぎしようと作ったアルバムなんです。
その中身っていうのがこれまたすごくてね。
テーマはズバリ、「オレと女房の数年間」。
アルバムのはじめは嫁さんとの出会い、
幸せな日々といった内容の曲が並び、
中盤からじょじょに暗雲が立ち込めてくる。
すれ違っていく心、お互いの浮気、そして離婚…。
「♪別れるのはいいけど、高くつくわよ〜」
なんつうステキなコーラスも入ってます。
と、ここで終わると思いきや、
「新しい恋人のおかげで『愛』を思い出した」と喜んでみたり、
「生まれ変わったら、元嫁とまた一緒になって幸せになりたい」
と妄想してみたり…。
そんなこんなで2枚組アルバム作るなんて、バカですよ、コイツは。
なんで、そんなに自分の恥をさらけ出すかね?
てゆうか、元嫁に対する嫌がらせだとしか思えないよな。

音楽、特にソウルやR&Bという世界では、
ここまで自分をさらけ出すのってないんですよね。
まあ、最近は多くなってはいるけど、
結局、「私みたいないい女はいない。ナンパするのなんか100年早いよ」とか、
「クスリに銃にケンカに女、オレはリアルなゲットーライフを生きてきた」とか、
そういう自慢話エンターテイメントに終始しがちなんです。
グランジやオルタナ系にもそういうのあったけど、
自分のトラウマ自慢つうか、ボヤキ系エンターテイメントだったじゃん?
そういった意味じゃ、マーヴィンさんのコレは本当にリアル。
男と女の有り様=出会いと別れをリアルに描ききってんですから。
すげえよな。

表現者つうのは、どうしてもカッコつけたがりです。
村上龍とかやっぱカッコつけすぎだと思うし、
いや、このオイラでさえそういう傾向はあります。
写真とデザインの兼ね合いを見て「今回はオシャレ原稿で」「今回はバカ原稿で」
なんていう使い分けをしちゃうもんな。
でも、本当のオイラはナンパかAVかと言われれば、
AVを取って、ブラウン管の前でマスをかいているような、
そういう情けない男なわけですよ。(特に最近は)
だったら、そういう自分でいいじゃん、と。
かっこ悪いのも芸のウチですよ、
とマーヴィンさんに教えられたような気がしました。


...




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