日々、腐女子的に生きているのであります。...まいまい子

 

 

超突発不二塚(?)駄文。季節は夏です(今は冬…) - 2003年01月17日(金)




          『ルーレットタウンの夏』



 
  やはり真夏だからなのか、陽射しがとても強い。
  五月蝿く鳴り響く蝉の合唱に、これまたけたたましく鳴り響く車のクラクション。余計に体感温度が増す。人々の中を通り抜ける風はあまり涼しくない。
  体中から拭き出る汗に我慢しながら、手塚と不二はある喫茶店に入った。

  
 
  カランコロン
  「やぁいらっしゃい」
  店に入ったら、奥から少ししわがれた―それでも品のある声がした。
  ゆっくりと、初老の男性が現われた。  
  「久しぶりです、マスター」
  「あぁ君か。久しぶりだねぇ、ゆっくりしていきなさい」
  「はい」
  不二は軽く会釈をして奥の席に座った。手塚も一緒のテーブルにつく。
  手塚は辺りを見回した。午後三時なのに他に誰も客がいない。
  きょろきょろしていたら、不二が笑って小声で言った。 
  ここ、あんまり営業してないからね。
  不二の言う事には、この店は普段はあまり営業していないらしい。マスター一人で切り盛りしているのもそうだが、何より『道楽』で喫茶店をやっているそうだ。
  この不況でよくそんな事ができるものだ、と手塚は思った。
  「マスターって本当はいくつも会社持ってるんだよ。会長ってやつ」
  手塚の心中を察したのか、聞いてもいないのにそう答えてきた。
  「……そうか」
  あえてそこにはツッコまずに受け流した。
  手塚は不二から自然を外し、また辺りを見回した。
  カウンターの方では、マスターが慣れた手つきでコーヒーを煎れている。豆の、いい香りが店中を包み込む。  
  …どう見ても会長とは思えない。ただの(と言うのはおかしいが)品のいい男性にしか見えない。
  まぁ不二の知り合いだ。外見で判断してはいけない。
  「ここの店、いいでしょ?」
  手塚が一向に喋らないのに業を煮やしたのか、不二がそう言ってきた。
  「……そうだな」
  確かにいい店だ。
  大通りからすこし入った小道―路地裏にあるこの店。外の喧騒があまり伝わってこない。街中とは思えない程静かだ。
  少し色の褪せた煉瓦の壁に、そこに収まっている古い木枠の窓。テーブルや椅子も、相当年季が入っている。テーブルにはクロスがかけられていない代わりに、一輪挿しの花瓶。どこからか摘んできたのだろうか、丈の長い草花が飾られている。
  大通りに面していないので、陽射しがあまり入ってこない。その為店内は少し暗いが、とても神秘的で不思議な空間になっている。
  あまり冷房がきいているとは思えないのに、店内は涼しい。冷たい煉瓦と薄暗い場所のおかげなのか、自然と汗がひいていくのがよくわかる。    
  …それに店に入ったときの、妙な懐かしさ。
  今まで一度も来た事がないのに、戻ってきたような感覚。ひどく懐かしい気持ちが胸を締めつけてくる。
  「…いいでしょ?」
  もう一度、再度確認するように。
  「そうだな」
  その同じ答えに満足したのか、不二は笑みをもらした。
  「はい、おまたせ」
  マスターが煎れたてのコーヒーを持ってきた。
  二人とも、キリマンジャロでいいかな?
  微笑みながらマスターがそう言った。
  不二が微笑み返したのを肯定と取ったのか、マスターは頷いてカウンターの奥へと姿を消した。
  「ミルクと砂糖は……君はブラックでよかったね」
  「ああ」
  そのまま、コーヒーカップを口に近づけた。コーヒーを口に含むと、香りが口中にも広がる。
  手塚は一口飲むと、カップを置いた。
  「ここのコーヒーおいしいよね?」
  カップを持ちながら不二が言った。
  「そうだな」
  軽く目を伏せて答える。
  「この店の雰囲気もいいよね。僕のお薦め」
  そう言ってコーヒーを飲んだ。
  手塚はそれには応えず、またカップを手にとって口に運ぶ。
  不二は気にせずに頬杖をついて、窓の外を眺めている。
  二人の間に、会話がない。  
  こういった音のない空間は、心地よかった。
  


  「…そうだ」
  ハッと思いついたように、不二はそう言って席を立ち、カウンターの方へ向かった。
  何やらマスターと会話している。けれど、手塚にはよく聞こえない。
  マスターと話し終えたのか、カウンターから離れて出入り口付近へと移動した。
  「手塚、こっち来て」
  そう言ってきたので、手塚はゆっくりと席を立ち不二の方へ行った。
  不二の所まで行くと、不二が何かを持っていることに気がついた。
  「……レコードか?」
  その問いに、不二は頷いた。
  「マスターに許可もらったから、聴こうかなと思って」
  慣れた手つきでレコードをセットする。
  そういえば部屋にいっぱいあったな。
  以前不二の家に行った時、大量のレコードに少し驚いたのを、手塚は思い出した。
  「じゃ、これ聴こうよ」
  と言って、不二がレコードに針を置いた。それと同時に音楽が紡ぎだされていき、コーヒーの香りと共に、静かだけれども、店中に曲が広がる。
  どこかで聴いた事のある、曲。
  「……ベートーヴェンか?」
  「当たり。『悲愴ソナタ』だよ」
  ゆったりと、それでいて叙情的なピアノの音が流れていく。レコード特有なのか、CDで聴くよりとてもまろやかに聴こえる。
  手塚は回っているレコードを見つめた。  
  「………不二」
  自然と、声が出る。  
  「…何?」
  いつも通りの声音。 
  「……いや、何でもない」
  手塚は首を振った。
  何に首を振ったのかは、手塚自身わからない。
  何を言おうとしたのかも、手塚はわからなかった。
  「…そう」
  不二は手塚の曖昧さを問いただそうとはしなかった。
  しばし、沈黙。
  今度の音のない空間は、少し心地悪い。
  不二はくるっと踵を返し、
  「コーヒー飲も?」
  マスターが折角煎れてくれたのに冷めちゃうよ。
  と、手塚を促した。
  「…そうだな」
  手塚も不二に同意して席へと戻った。



  店内に鳴り響くソナタは、どこか物淋しく。
  香るコーヒーは、少し色褪せて。
  


  口にしたコーヒーは、案の定、冷めていた。

       
                                終







 …超突発です。
 突発しすぎて、CPがよくわかりません(死)不二塚?塚不二??……また曖昧ですな。

 
 題名はやっぱりキンキから。
 これはFアルバム。ついうっかり思いついちまったよ!!なので、文法おかしい所満載ですが、見逃してやってくださいv(オイ)てか見直せよ俺。


 えと、デート中の話かしら??
 てかレコードとは別にしたかったんだけどな……いつの間に合体してんだ。ていうか題名キンキなのに、作中に出てくるのはベート―ヴェンってアンタ…。あいやいや〜。

 
 『悲愴ソナタ』は、選択音楽で弾いた曲です。発表しなければならないんですよ〜。ってもうしたんですけど。そら見事にとちりまくって散々な結果に!……本番に弱いの…。


 リク……げふげふ。
 もう日記で宣言しとかないといつまで経ってもやらなさそうだ…。
 て訳で。


25日までに1本上げます、玖月さん!!!


 だらだら続いてる塚リョの4を!!(これで完結ではないですが)今度は王子が出てきませんが!!(オイ)
 あはははは!!予言しちまったよ!何が何でも書かないとね!!ふはははははは!!!


 …てかさ……

俺の本命は塚リョなのに…。

 どう考えても不二塚の方が多いぞ俺v……本命塚リョなんだけどな…(自問自答)


 あ、おいらはあんまりコーヒー詳しくないです(てか飲まないし)



 余談。

 昨日、姉にコスの事(昨日の日記参照)を言いました。

 姉は『やれば〜?』と、言ってきやがりました。
 しかし、絵を見るなり一言。


『お前、胸ないから無理じゃん』


 ……わかってるんだけどさ………何だろう、この気持ちは。


...




My追加

 

 

 

 

INDEX
past  will

Mail