浪奴社員の呟く
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いつでもそういう時間帯で語られていて、それによって忘れかけていたものを思い出させてくれるのは、皮肉にも己の最も痛む箇所ではなくて、それさえも気付かせないほどの恐怖心によるものだった。
そら面白くないわいな。ワシかて普通にしとりたいし、もしそうならこない情けない感情なんぞ、抱く必要もなかった。いやどっちにしたかて、こうしていることさえも、己の言い訳にさえなってないんでな、エェんかもしれへんけど、正直おもんない。何時になったら許されるわけや?
そもそも許しを得られるんか?誰もが月日と共にまるで人事のように冷静な分析を施し、恰も健全なる生命の営みの基にその肉体を育むの如く振る舞う、それは誰かに許されてのことか?己の忌避でしかない現実に、その目を叛く事で、騙しながら明日を怯えるも忘れていくわけやろ。都合のいい場所だけで愛を語らってんな。
悔しいけどな、どない足掻いてもこれ以上のことをワシは出来んのか、不自由やな。一番羨ましく思うのは、結果ではなくてその結果に至り得る過程や。やさかい、見えない誰かを傷つけて、脆弱い己らを欺いて、そんなことしながらこれ見よがしに愛を語らうな。
何が違うのか判らんのやけど、異様なまでに相違を感じてしまうんよな。いや、表面的な部分では感じてるし、掴んでいるとも思ってる。やけど、その大元にあるのが何なんか、それがさっぱり掴めんでいるからイライラしてしまうな。アカンな、めっきりストレス状態になってるわ。別に守ってきたつもりもないし、それ以上にさっさと消え去ればいいと思ってここまでやってきたんやけどな、やさかい好き勝手なことしてきたんやけどな、せやない。そんなんを評価されても全然嬉しない。
ホンマはいっつも恐怖心で一杯一杯なんや。何時、真実が曝されるかわからん、何時掌が翻るのかわからん。そんなんやさかい、近々破綻してしまうんやろう、そないな結実が目に浮かぶわ。ワシの中には、もう一片の余剰も残されてない、そないな沈深の淡泡が溢れ出しそうやわ。なんでそないな面造るんか?てか。この怯慄の醜顔を塞ぐためやろ、そら。
んならずっとこんなんやったんか?てか。んなわけないやろ。自分で世界を産み出さならんことぐらい、熟知してたわ。それは今でも変わってないやんけ。やけどな、この世界が余りにもチンケで湿っぽいことがワシを一層不自由にさせとるんやんけ。こんなんやったら、誰かて出来るやないけ。こんなんするために、ワシ此処居るんちゃう。
負け犬としては、「社会が…」「世間が…」「家庭が…」なんぞ繰り返すんやろうけどな、それやったら打破したらエェやないけ、て、そない信じてたわワシもな。やけどな、己自身が敗れ去ったんは、そこちゃう。どないしたらエェんやて?政治家は政治家になるんか?パイロットはパイロットになるんか?野球選手は野球選手になるんか?ちゃうやろ。そない信じ込んでたでワシも。自分で思っていたを遥かに凌ぐ強敵やったわ。正直敵うとか、今となっても全然思えんよ。
待ち望んでも、もう話せるはずもなく、もしかしたらあの当時のほうがむしろ夢の中にあったのかもしれんな。この十年、何もかもが変わってしまった。ワシの心さえも不動ではあり得なかった。願いのうちの、何を叶えたか?てか。いや、何も。何も変わってないことが、ワシの心が変わってしまった非贋の証かもしれんな。危ういよ。己の責を棚に上げて快楽に溺れようとするに等しいよ。
でも本当は助けて欲しい。もう疲れた。
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