きみはボクらの宝物
小悪魔研究所



 新婚さん風

本日の担当:SHY

 最近、Sizの私への愛情が薄れている。
 朝の見送りに立たなくなったことからもそれは明白だ。
 「今日はね、風邪ひいてるから」
 「今日はね、ディズニー・チャンネル観るから」
 「今日はね、お着替えしてないから」
 ...色々な言い訳を日々並べては、おざなりな「いってらっしゃいのチュー」をして私を送り出す。
 まあ、それはそれでよしとしよう。
 いや、本当は良くないのだが、ここではよしとする。


 困るのはSizが突然気まぐれを起こすことなのだ。
 ある朝もいつものように私は出勤の準備をして、最後にSizの前に立った。
 「じゃあ、行って来るね」
 そう言って彼女の頬にキスをするとSizは急に騒ぎ出した。
 「まだお着替えしてないよ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜」


 ...ここのところ、この時間に着替えが済んでいるSizを見たことはないのだが。


 いつものことだろう、と言いたいのをぐっと堪えて「明日はよろしく。今日はここでいいから」と私は彼女を納得させる。
 そして、くすくす笑うkinaと一緒に玄関へと向かった。


 kinaに別れを告げて車を出すと、私はマンションを回り込むように車を走らせる。
 私達の部屋ももちろん道から見えるのだが、ベランダの手すりのところに何か動く物体が。


 じたばたじたばた。
 ...Sizの手だ。


 私は車を端に寄せて、他の車をやり過ごすスペースを空ける。
 そしてSizが何かを踏み台にして、そこから顔を出すのを待つのだ。
 ベランダと、運転席とでアイコンタクト。
 私はクラクションを一つ鳴らし、Sizに手を振って今度こそ車を出す。

 
 こんなやりとりをkinaは知らない。

2004年03月18日(木)
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