2007年08月21日(火)  マタニティオレンジ162 もしもし、たま電話。 

13日の夜、『絶後の記録』映画化をめざすキンガ・ドボッシュさんを囲んでわが家で会食していたときに、「あら、たまちゃん、電話してる」とダンナ母が気づいた。家の電話が鳴り、ダンナ父が応対していたのだが、それを見ていたたまが物真似をするように左手を左耳に当て、「もしもし」のポーズを取っているのだった。教えたつもりはないのに、いつの間に覚えたのか、びっくりするやらうれしいやら。「もういっぺんやってみて。もしもしー」と自らお手本を見せながら、アンコールしたのだが、実際に電話が鳴らないとたま電話のスイッチが入らないらしい。携帯で家の電話にかけ、呼び出し音を鳴らすと、ほら来た!とばかりにもしもしポーズを取る。面白くて、何度も家の電話を鳴らすことになった。

それから一週間、たま電話はさらに進化し、もしもしポーズを取りながら、「ハイッ」と言うようになった。少し緊張感のある歯切れのいい言い方といい、語尾の「ッ」と同時に首が軽く前後するところといい、ダンナが仕事の電話を受けるときの相槌によく似ている。家にいるときもひっきりなしに電話がかかってくるパパを観察して、覚えたのだろう。

ゴルフの素振りには傘が、アカペラカラオケにはしゃもじが欲しいように、たま電話も「何か持たなきゃサマになんないわ」ということに気づいたらしく、リモコンやらペットボトルやらを受話器に見立てて耳に当てるようになった。オムロンの電子体温計の先が細いほうを口元にもってくると、インカムっぽくて結構キマる。本人もそれがわかっているのか、体温計を手放さないのだけど、先っぽが目に入ったら、とこちらはハラハラする。「スリッパは無理があるんじゃない?」と突っ込むと、えへへとおどけて笑う。受け狙いなのか、末恐ろしい。

ちょうど手に届くところに家の電話があるので、その受話器を持ち上げることも覚えてしまった。本人は耳に当てたいのだけれど、受話器が重いので肩に担ぐ格好になる。受話器がしょっちゅう外れては、ピーピーと警告音が鳴る。もちろん携帯電話は大好き。赤ちゃんの手にも持ちやすいサイズなので、これでもしもしするのがいちばんしっくり来るらしい。でたらめなボタン操作でも壁紙の写真を変更したりサイトに接続したりリダイヤルしたりしてしまうので、危なっかしい。機種変更で不要になったおさがりを差し出すと、お古にはそっぽを向き、現役を寄越せとねだる。電磁波センサーでもついているのか、親がどちらを大切にしているかを観察しているのか、現役機種と引退機種をちゃんと見分けている。

保育園では週一回の小児科検診を「もしもし」と呼んでいる。聴診器が電話に似ているからなのか、体の声を聴くからなのか、その両方なのか。昨日、夏風邪を診てもらった小児科で胸に聴診器を当てていたら、突然たまが左手を耳に当て、もしもしのポーズを取った。やっぱり電話に見えるんだなあと思ったら、院長先生のデスクの電話が鳴っていた。診察の邪魔にならないように、さりげないメロディと音量に設定されていて、それが電話の音だと気づくのに、わたしは少し時間がかかった。だが、たまは瞬時に「電話だ」と察したらしい。感度良好のたま電話には驚かされることばかり。

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