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2008年03月31日(月)
思い出になる瞬間
「知ってる。君の、紋章・・・ずっと前に、見たよ」「・・・っ」 何の躊躇いもなく柳の右手を取ったフェイを、柳は言葉を返せないまま見詰めた。 外は暗い。卓上の灯火だけが二人の顔を照らし出していた。 薄暗い部屋の中で、柳の紋章が淡く浮き上がる。 「もう、何年になるのかな・・・あれから・・・。僕が見た時は、君じゃなかった」 ポツリポツリと、一つずつを思い出すようにフェイは続ける。 そう、君じゃなかった。 もう一度呟いて、フェイの青い目が柳を捉えた。空とは違う青。真っ直ぐでありながらどこか茫洋とした、空よりもずっと深い青が、柳の黒い瞳の奥にまで差し込んでくる。 「・・・・・・テッド、は?」 いきなり核を突いてきた。 表情も変えず尋ねたフェイに、柳は沈黙でしか答えられなかった。僅かに目を細めた柳の表情から全てを察したのか、フェイは俯いて柳の手を離す。 「そう・・・そうゆう、こと・・・」 「テッドを知っているのか・・・?」 「・・・仲間、だった。それだけ」 次に顔を上げた時、フェイは微かに笑っていた。 この笑顔は何を諦めたのだろうかと、柳は頭の隅で思った。 +++ 柳とフェイ。 もうダメ・・・眠い。 |