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2007年09月23日(日)
不可侵
ああ、なんて広い。家の庭で見る星と、隋の大地の上で見る星はそう変わらないのだな、と太子は薄く開いた眼の奥で思った。 どちらも広く、美しく、そして遠いのだ。 夜は肌寒く、太子は自分の身体を抱え込むようにして寝返りを打つ。そして太子が眠った時と同じ体勢のまま座っている旅の道連れを見た。太子の居る場所の真逆の方向に顔を向け、見張りの為に起き続けている背中を見た。 替わってあげようなどという考えは微塵も思い浮かばない。太子にとってはそれが当然であったし、そうあるべきものだった。 太子は己の『身分』というものを嫌というほど理解していたし、それを利用することも厭わなかった。人生楽が出来るなら、とことん利用し尽くしてやろうとも思っていた。「私は摂政だぞ」と、その一言があれば大抵はやりたいことが出来た。勿論相手によってはその効力は無に等しいのだか、それも数える程だ。 太子の視線には気付かないのか、若者は微動だにしない。手を伸ばせば届くだろうか、と夢現に思う。 あの挑戦的な眼差しを見たい。届かない星を見たい。だけど、差し迫った夢が欲望の邪魔をする。この背筋の良い背中を崩すことは出来ない。 (届かない) 隋の夜は、寒かった。 +++ 久し振りの小話は日和。 携帯で文章打っていると、時間が掛かるせいか何書こうとしていたのか見失う。 |