終わりなき戯言
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2006年03月19日(日)
「堕天の徒」
<停滞する世界で5つのお題【2】>

01:始まりの終わり

「さよなら、だね」
「さよなら、だな」
「次はいつ会えるのだろうね」
「さあな」
「此処でまた、二人で会えるといいのだけれど」
「・・・私は、もう此処には来ない」
「・・・・・・」
「もう終わろう・・・此処で、終わらせよう・・・」
「それは私達が決めることではないよ」
「だからだ。私達が決めることではない。だから、私はもう此処には来ない」
「私は来るよ。いつだって、その時が来たら、今と同じように」
「ああ・・・それが私達の役目だからな」
「私は何度でも繰り返すだろう。この世界が繰り返すように」
「だが・・・私は来ない。もう二度と」
「・・・そうか、では私は待つことにしよう。此処ではない場所で、君と出会う日を待っている」
「本当か?君は大人しく待つような人には見えないが」
「待つよ。そして君を此処に連れて行く」
「約束は引き継がない方がいい。次の道で足枷になるぞ」
「約束じゃないさ。ただの決意だ」
「なるほど。では私も私の決意を引き継ごう。私はもう此処で終わる。次の私は何も覚えてはいまいよ」
「なんだい、それだと寂しいじゃないか」
「言っただろ?私はもう此処には来ないと」
「さて、どうなるかはわからないよ」
「君もな」

「では、さよならだね」
「ああ、さよならだな」


02:凍る風

 落ちる。落ちる。
 遠ざかっていく雲。
 小さくなって霞む楽園。
 思わず伸ばした手は宙を掴むばかりで。
 世界が下から上へと流れていく。

 何故、俺は落ちている?
 何が起こった?
 あの瞬間に何が起こった?

 全身を弄っていく風が痛い。
 その痛みが俺に冷静さを取り戻させた。
 そうだ、俺は飛べる。その為の翼がある。
 落ち着けば大丈夫だ。
 そう思ったのに。

 何故、俺は飛べない?

 愕然とした。
 今まで一度も疑わなかった感覚が、思い出せない。
 耳鳴りがする。視界が揺らぐ。
 俺はこのまま死ぬのだろうか。

「大丈夫、君を死なせはしない」

 千切れるほど伸ばしきった腕を掴んだ小さな手。
 何も心配はいらないと、無邪気に笑った幼い顔。
 その背後に広がる、真っ白な。

 ・・・何だよ、それ。

 それはちゃんと声になっただろうか。
 風が凍る音がした。


03:失われた色

 私は色を知らない。
 昔は知っていたのかもしれないけれど、もうすっかり忘れてしまった。
 私はただ感じるだけ。
 草花の匂いを、頬を弄る風の強さを。
 そして貴方の声を。

 ねぇ、貴方は何を見ているの?
 私の見えないものを見ているの?
 私は色を知らないけれど、私も世界を見てみたいの。
 貴方が怒っていること、悔やんでいること。
 悲しんでいること。
 そして、嬉しく思うこと。
 それを一緒に感じられたら。

 でも私は色を忘れてしまった。
 隣に感じる貴方の存在を失ってしまった。

 それがただ寂しくて。


04:伝わらない言葉

「・・・んだよ・・・・・・何だよ『ソレ』は!?」

 苛立たしげに叫んだ青年に、少年はただ笑う。
 嬉しそうに、楽しそうに。
 そして、何よりも苦しそうに。

「ああ・・・そうか・・・君は覚えていないのか・・・・・・そういえばそう言ってたね」

 冷やりとした『ソレ』を指先でなぞり、少年は激しく咳き込んだ。
 その拍子に目尻に涙が浮かぶ。
 ああ、どうしてこの身体はもってくれないのか。
 あともう少しだというのに。

「ねぇ・・・どうして覚えてないの・・・?僕はこんなにも覚えてるのに・・・」

 寂しいよ。
 何度繰り返しても、君は、もう。
 終わってしまった。

「それがこんなにもどかしいなんて・・・」

 それまで触れていたものにキリリと爪を立て、消えない跡を残す。
 あの時こうしていれば、きっと残るものもあっただろうに。

 何を言っても伝わらない。
 あの頃の君は、もういない。

「・・・もういい・・・もういいよ・・・・・・もう君の役目は終わったから」

 もう、必要ない。
 最後にそう告げて少年は口の端を吊り上げた。
 さようなら、とその唇は声無き言葉を形作る。

 この世界と一緒に、君も消えてしまえば良い。


05:果てなき旅路

「・・・なあ、お前は何の為に今まで生きたんだ?」
「さあね・・・少なくとも、生きたくて生きていたんじゃない・・・生かされたんだ・・・」
「俺を、待って・・・?」
「待っていたのは僕じゃないよ・・・そう、君を待っていたのは、世界だ」
「俺は世界の為に生きてきたんじゃないけどな」
「ふふ・・・僕も世界の為に生きてきたわけじゃないよ・・・」
「じゃあ、何だよ」
「君は覚えてないんだから言っても無駄さ」
「無駄かどうかは言ってみないと判らないだろ」
「・・・・・・僕自身の為だよ・・・約束を守りたかったんだ・・・それだけなんだよ・・・」
「・・・あれは・・・約束じゃないだろ?」
「君・・・・・・ああ、そうだったね・・・ただの決意・・・」
「ごめん、な・・・」
「いいよ、別に。どうせこれで終わりなんだろうなと思ったし」
「そうじゃなくて・・・っ」
「いいんだってば・・・・・・それでも君を待ち続けたのも僕の意志なんだから」
「俺は・・・どうすればいい?俺に何が出来る?」
「・・・何も。君は君の道を歩めばいい。前に君が言ったようにね」
「そうか・・・」
「そんな落ち込まないでよ・・・せめて別れの時はあと腐れなく、だろう?」
「・・・そうだったな」

「では、さよならだね」
「ああ、さよならだな」


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オリジナル。またもや自分のところのお題を使用。
こうゆうところでしか形に出来ないからせめて書きたいと思う気持ちを此処で少しでも吐き出しておきます。



どわーー!!あなたは私を悶え死なすおつもりですかW草色さん・・・!あああありがとうございます感激です!!とにかく後日メールさせて頂きます・・・!
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