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2006年01月31日(火)
其は始まりを宿し終わりを見る者
ふと、思った。僕は殺さなければ生きていけなかったのだと。 そんな当り前のことを、今更に、考えた。 「潰せ」 こんな風を受けるのは久し振りだったのかもしれない。 心の内が微かに震えている。 それは恐怖だったのか高揚だったのか自分でもわからなかった。 「・・・今、何と?」 「潰せと言ったんだ。二度と立ち上がれないように徹底的に潰せ」 「わかりました」 手際よく各部隊に指示を出すクラウスを横目に桜焔はふと息を吐いた。 切ったばかりの髪が少しくすぐったくて、あの頃を思い出す。 戦うことが生きる手段だったあの頃を。 「クラウスは少しシュウに似てきたね」 「そうでしょうか?」 「今の僕を見ても顔色を変えなくなった」 クスリと自嘲のような微笑を浮かべた桜焔にクラウスは返す言葉を無くした。 どんな言葉を聞かせても今の彼には何の感情も与えることはできないだろう。 彼は王たる者の器を持っている。 それは即ち、支配者としての残酷さをも併せているということだ。 その証拠に普段戦を嫌う彼はこうして戦場に立つと変わる。 優しさと共に冷酷さを、慈悲と共に非情さを、感情と理性を平然と飼い慣らす。 そしてそれは以前の戦、歴史で言う統一戦争の彼ではありえないことだった。 何故なら以前の彼は二つの相反する壁に押し潰されまいと必死だったからだ。 「そろそろかな」 桜焔がポツリと呟くと、同時に敵陣で白旗が揚がる。 降伏の合図を目にし、クラウスは桜焔に目を向けた。 「どうしますか?」 「どうしようかな」 全てが予定通りだったのだろう、桜焔は少しだけ満足そうに言った。 微かに吊り上った唇は、その言葉と同時に何と零しただろうか。 愚か者達め。クラウスにはそう言っているように聞こえた。 そうして桜焔はわざと考えるような素振りを見せて続けた。 「降伏を受け入れる。前線に戦闘停止の旨と、向こうから話せる人を連れて来て」 「わかりました」 「それと、ルルノイエに急使を」 「急使ですか?」 「火を起こした馬鹿がいるでしょ。奴を逃がすな」 「・・・はっ」 後方へ下がったクラウスを見ず、桜焔は前方に広がる戦場を眺めた。 二つの国は一つの旗の下に統合された。 それなのに、終わらない。 まだそこかしこに残る火種が目の前で燻ってちらついている。 「・・・・・・難しいね、ジョウイ」 友に託されたものを成し遂げるにはまだ時間が掛かりそうだ。 馬の手綱を握る手を強めて、桜焔は目を伏せる。 「あと、どれくらいかな・・・」 ヒタヒタと、狂気の足音が近付いてくる。 必死になって積み上げたものを壊すのは、きっと何よりも簡単だろう。 ---------------------------------------------------------------------- 桜焔王様時代。表面上の戦争は終わってもまだ反勢力はありそうだと思った。 只今さり気に試験期間中です。 今日も沢山書いた・・・ていうか設問多すぎだ・・・時間足りないよ・・・。 でもあと一科目なので頑張ります。 そして明日は就活生らしくスーツ着てナゴヤドーム行ってきます。 既に疲れそうな気が満々。 |