終わりなき戯言
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2005年05月17日(火)
穢れない白は無感覚という恐怖を呼び起こす
 おいで、と誰かが手を差し伸べた。
 真っ白で、綺麗な手。
 僕とは正反対の、汚れを知らない、純白の。

 そんな手を取れる筈なんてないから。
 僕は僕と同じ紅に染まった手を取った。

「まぁ、否定はしないけどね」
「でしょう?」

 不機嫌そうに呟いた冬夜に、飛鳥は苦笑混じりに小さく笑った。
 二人の吐く息は白く、肌を刺す空気は痛い。
 開け放たれた窓からは、白い雪がちらついていた。
 部屋を覆う白い壁紙に赤い花が散る。
 その異色が飛鳥にとっては少し安心できる色だった。

「こんな風に汚す心配しなくていいですし」
「だったら洗い流せば?」
「また汚れるのに、ですか?」

 当然のように飛鳥は微笑み続けている。
 その笑顔はやはり優しいのだと、冬夜は何となしに思った。

「白は嫌いです。感覚が麻痺してしまう」

 その言葉を聞きながら冬夜は手についた血の跡を拭った。
 自分のを拭い終わると、今度は飛鳥の手を掴んで乱暴に拭く。
 血は渇いてしまうと簡単に取れなくなってしまうから。
 服に返り血を付けなかったのは、やはり身に染み付いた無意識だったのだろう。

「でも、本当の白っていうのは何色にも染まらないんだってね」
「誰が言ったんですか?そんなこと」
「さぁ、誰だったかな」

 外は雪が降っている。
 白い壁には、血花が咲く。
 ここが外だったなら、それさえも真白に染めてくれるだろうに。
 雪が雨だったなら、この赤を洗い流してくれるだろうに。

「昔の話はもう聞きたくない。昔の君なんて知らないし」
「では耳を塞いでみますか?」
「どちらかというと、口を塞いだ方がいい」

 そうして息さえも止めてあげる。
 そしたら君はもう白を見ることはない。
 それに憧れることもない。

 そう言った冬夜に、飛鳥はただ穏やかに微笑んでいた。

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久し振りにオリジナル。100題でやってたやつです。季節外れですな。
時々思い出したように書きたくなりします。
だって私の中では全然終わってないから。


拍手&メッセージを下さって有難う御座います。
15日に過去最高を記録しまして、ただただ驚くばかりです。Wリーダーパワーか!?
お返事はもう少しお待ちいただければ・・・。
今必死こいて三周年のアレコレを進めております故。
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