終わりなき戯言
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2004年07月08日(木)
休息
 二人の少年が対峙していた。
 一人は銀の髪に紫紺の瞳を輝かせ、荒い呼吸を繰り返している。
 もう一人はこげ茶色の髪を風に揺らし、透き通るような琥珀色の瞳で銀髪の少年を見ていた。
 こちらは少しの疲れも見せた様子は無い。
「まだやるの?イール」
 自分よりも少し幼い顔に呆れたように言われてイールと呼ばれた銀髪の少年は相手を睨みつけた。
「まだだ!絶対に一発喰らわせてやる!」
「うーん・・・でも流石に疲れたというか・・・」
 若い鋭気を受け流し、もう一人の少年――桜焔は軽く頭を掻いた。
 イールの組み手に付き合ってかれこれ一時間。
 桜焔にとってはなんてことのない運動だが、予想以上に動きのいいイールの相手をするのは思ったよりも簡単ではなかった。
 それでも一度たりとも攻撃を当てさせない程度の実力の差はあり、負けず嫌いなイールの性格が彼を躍起にさせていた。
(手を抜くのも楽じゃないな・・・)
 徹底的に格差を見せ付けてやっても良かったのだが、王族相手、しかも王弟陛下に怪我をさせるわけにもいかないだろう。
 どうしようかと考え始めたところで再びイールが走り出す。
 繰り出される攻撃を受け止めながら桜焔は気付かれないようにそっと溜息を吐いた。
 仕方ない。まだ暫くは付き合ってあげよう。
 そう諦めを含んだ表情で。

「・・・あれは何をやってるんですか」
 偶然その光景を見つけたサリアは思わず溜息混じりに訊いた。
 少し前からそれを見物していた柳が短く答える。
「鍛錬・・・だと思うが」
「・・・全く・・・任せてある書類はどうしたんだ・・・」
 仕事は山ほどあるというのに、と頭を押さえながら心底呆れたように言う。
 そして改めて末弟と客人の様子を眺める。
 どうやら桜焔の方が断然に実力が上らしく、イールは完全に受け流されていた。
「凄いですね・・・あれでもイールは我々の中でも一番強いと思ったのですが・・・」
「筋はいいが、経験の差だろう・・・あいつに敵う奴はそうはいない・・・」
「・・・ではあなたは?」
「さあな」
 相変わらず無表情を崩さない柳にサリアは僅かに苦笑する。
 そして思い出したように持っていた書類を抱え直して、その場から去ろうとした。
「忙しそうだな・・・」
 不意に掛けられた声に笑みを向けて。
「王という仕事も楽ではありませんので」
 そう言うと疲れなど全く見せない表情で歩き出した。
 その背中を見送って柳は再び二人に目を向けた。

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イールとサリアは100題の砂礫王国で書いたオリキャラです。
あの話から少し経ったくらいでしょうか。
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