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2004年05月29日(土)
紅月
「馬鹿だよね、僕」異様なほどに紅い月が闇夜を照らす。 その中で桜焔は俯いたまま呟いた。 右手の甲からは血が滴り落ち、大地に小さな血溜りを作る。 彼の左手にはつい先程自身の右手を貫いた短剣が握られていた。 「こんなことでしか、自分を保てないなんて」 自嘲気味に口の端を吊り上げる。 それは酷く穏やかで、現実から隔離された空間。 柳はその光景を何の感慨もなく眺め、漆黒の双眸を細めた。 紅い月は暗闇に馴染まず、そこだけが世界から浮いているように輝いている。 「ごめ・・・ごめん・・・っ・・・柳・・・・・・腕が・・・っ!」 突然カランと音を立て、剣が落ちた。 声を荒げ、目を見開いて桜焔は虚空を凝視する。 その焦点は合っておらず、何かに怯えるように体を震わせていた。 軽い記憶の混乱。 柳は桜焔の様子に驚いた様子もなく、掌で桜焔の目の前を覆う。 その記憶から、忘れられない忌まわしい光景から桜焔の目を塞ぐように。 「・・・思い出すな」 その言葉に桜焔は一瞬だけ息を止め、そして眠るように意識を失った。 倒れる体を支えて柳は小さく息を吐く。 ズキリ、と右腕が痛んだ気がして感情を映さない暗い瞳の奥が僅かに揺らいだ。 あれからどれ位の年月が経っただろうか。 消えない傷は今だ自分達を苛んでいる。 「・・・・・・これが、俺達への罰なのか・・・?」 月を見上げて問い掛ける。 それが誰に対してのものなのか、判らないまま。 --------------------------------------------------------------- ここ2、3日頭痛に悩まされております。 「ズキズキ」ではなく「ガンガン」なのでちょっと動いただけでも痛いです。 うおお・・・ひ、響く・・・。 なら動かなければいいのですが、動かなくても痛いのであまり意味がない; 今は薬を飲んだので痛みは抑えられておりますが、そろそろ効果が切れそうで怖い・・・。 |