日記雑記
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| 2006年11月01日(水) |
「クロニカ 太陽と死者の記録」 |
「クロニカ 太陽と死者の記録」粕谷知世 日本ファンタジー大賞受賞作ということで、ファンタジーではないかと思われる小説。インカもの。中南米が舞台のFTって珍しくないですかね。私は初めて読みました。
征服者たちに侵略されているころのインカの話。木乃伊の昔語り風。
文字を持たないインカの人々は、文字のかわりに死者と(文字通り)言葉をかわすことが出来たというのです。だからこそ、死者を木乃伊にして祀っていた。 突然やってきた文字の宗教キリスト教を信仰するスペイン人とは対立が起こり、文化摩擦といってしまっては生ぬるいような衝突が度重なり、インカ帝国は滅亡してしまうわけです。 そんな時代の後、キリスト教化する街で生まれたある少年が、親達が教会に隠れて祀っている木乃伊の話を聞くという趣向の物語です。
語るということをかなり意識したつくりになっていると思う。枠組みが面白いなと思った。中身ももちろん面白いんだけど、語り口自体が仕掛けなので、ちょっと仕掛けに夢中になりすぎてる気がしないでもないかな。あと薀蓄成分がやや高め。 でも面白かったです。私はやっぱり文字のない世界ではいられないなと思った。文字がなければきっと本もないので。
祖先から聞いた過去から脈々とつづく現実の世界が今、ここにある。 彼らはそれで十分に満ち足りていた。 文字の治める世界ではそうはいかない。自らの生きる世界のすべてを知り得たと確信するためには、この世に生み出された書物のすべてを読み尽くす必要がある。 (336頁)
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