日記雑記
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ソンナモノハ妄想ダ
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2006年07月06日(木) 「陛下」

今朝の一限の待ち時間にさくさく読んでいたのですが、いくら待てども先生が現れずついに全部読み終わっても授業が始まりませんでした。儲け物なのか損なのかよくわかりません。結局授業なかったんだけど先生の身に何があったのでしょうか。

バトンをもらってるんで答えなきゃと思いながら読書記録を書きます。

「陛下」久世光彦(中公文庫)
どっぷり浸ってしまいました。凄いです。

若き陸軍中尉剣持梓と娼婦弓とを中心に、戦死した梓の兄、兄の死後ゆっくりと狂いだした姉、義眼の北一輝、千里眼の男や陰間の少年などが出てきて色々なエピソードが盛り込まれたこってりとした話です。豪華で耽美な感じです。


梓は殆ど普通の、それこそ「黙ってうつむいているのは、もともと剣持さんは上手だから」と言わしめるような青年なのです。そのくせ「陛下」に関する一点だけが何だか凄まじいのです。もう、素で。
私はこういうことに詳しくないですが、国粋主義とはまたちょっと違う気がします。だって愛しちゃってるんです。
夢の中で五歳の梓は「お母様やお姉さまが、梓を抱いてくださるように、陛下を抱いてあげるのです」(42頁)と言います。そういえば夢や幻想の描写がふんだんに盛り込まれていますね。作風?

また、梓や作中の北一輝は、「陛下」の中に女性の要素を見ているようです。「実は女なのかもしれませんね」とか。梓は明らかに女性と陛下を重ね合わせている部分があります(因みに梓と一緒に弓も陛下を呼ぶようになるのが腑に落ちなくもあり怖くもあり……しかし彼女は無邪気です)。

“生まれたその日から、この刻を待って、待っていたのです。あなたに酷く殺されたくて、今日まで生きてきたのです”(251頁)

あなたっていうのは、……やっぱり「あの方」なのでしょうが、でもそれも目の前の弓と重ね合わされています。なんかアブノーマルここにきわまれりって気がしました(誉めてます)。衝撃的。


福井や左近允との関係もなんとなくいいですよね。彼らを見守る梓の目はとてもあたたかいです。後ろから抱きしめてやりたいって…。この人のまわりはどうしてこんなに濃いのでしょう。
他にも、北一輝が暗殺された同士宋教仁について書いた文章を読んで「男は、男に対して、こんなにまでの気持ちになれるのだろうか。これは、血と涙で綴られた恋文ではないか」(96頁)とか。ほんとに素で。


弓サイドの話も素敵でした。女の体は幸せだみたいな調子の男性作家の文章は嫌いでしたが、弓はくるくる変わるし前向きというか、ちゃんとそこと覚悟を決めて生きている感じがするのが好きです。
何だか色々なことをはっきりさせないまま締めてありますが、梓は死んで弓は生きるのでしょう。梓の子供を育てながら幸せになるのでしょう。


えびむらさき |MAIL

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