日記雑記
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| 2006年01月20日(金) |
「キップをなくして」 |
「キップをなくして」池澤夏樹
主人公イタルは電車の中でキップをなくして降りられなくなってしまい、東京駅の中に「駅の子」として住むことになります。 駅の子は駅の中ならどんなお店もただで使えるし、いくらでも電車に乗れて線路の続く限りどこへでも行ってよいのですが、ラッチの外に出ることは出来ません。 駅の子たちは東京駅のどこやらにある詰所で一緒に暮らしています。大部分が小学生ですが、彼らは通学時間帯に都内の色んな駅に出て行って、生徒たちが安全に乗り降りできるように陰ながら助けるのがお仕事です。陰ながら、というのは、決して透明人間などではないのに生徒たち、それに関りの無い人には気付かれないようなのです。
……という訳で、設定が大変面白いです。
駅の子の一人、ミンちゃんという小さな女の子が物語上重要で、駅の子の人助けの物語とはまたちょっと違った方向に進んでいく話なんですが、駅の子の生活が魅力的です。 特に、タカギタミオの何事にも一生懸命すぎるくらいのところがいいですね。実はなかなか面白い発想をする子のような気がする。設定が15年は昔の話っぽいんですが、今もこういう子がいるといいなーと思うしきっといるんじゃないかなと思えます。
死んだ後はどうなるの?という疑問にひとつの答えをくれる児童書といったところでしょうか。 それともうひとつ、駅の子って収容所に入れられたみたいだという発言に駅長が「そうかもしれない。外へ出ないまま何か仕事をさせられるんだからね。しかしね、社会というのはみんなそうではないかね。人は社会の外では暮らせない。仕事をしないわけにはいかない。大事なのは、暮らしが楽しいことと、仕事がみんなの役に立つ事だ。私はそう思うね」と言うのも印象的でした(176頁より)。
前々から、一度くらい山手線でぐるぐるしながら本を読みつづけてみたいなと思ってたんですが、未だに実行していません。フクシマケンがやってくれましたね。
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