日記雑記
ソンナモノハ妄想ダ 表紙|以前|以後
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前々から読みたかった本。藤枝静男著。
金魚に恋するグイ呑み、人間に変身する茶碗、チベット出身の空飛ぶ丼鉢は、見た目をよくする為に庭の池の中へ沈められています。沈めたほうの骨董屋は実は弥勒菩薩です。 主人公は彼ら。全編一人称です。
まあ本当に奇抜な設定でびっくりするほど「普通の人間」が出てこないんだけど、人間について考えた話だと思います。 主軸は仏教です。
丼鉢の元の主人がラマ僧で、主人が手伝っていたのを見て葬式を語るくだりが印象的でした。この小説に限らず、ときどき鳥葬の話を読むものの実際どうなってるか私にはわかりません。何だかあまりに自分の世界とはかけ離れていて、うわーと思ってしまいます。 でも、考えてみれば至極もっともなんですよね。 体が他の動物の血肉になったり土にかえって植物を育んだりするのが、本来の輪廻だったんじゃないかなーと思います。
ふしぎな小説ですが、すごく冷静な話です。
「しかしその哲学もいずれは磨り減って、次に現れる法で滅びるのだろう。そしてその法もまた滅びて無常に帰する。すべての法は空であり実体はあり得ない。空転空転。その動力はエーケル、エーケル。何れは出て行って説教しなければならぬ定めであるが、それも奇麗に雲散霧消だと私は思った。」(本文から引用)
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