ベルリン国立歌劇場日本公演『トリスタンとイゾルデ』に行ってきました。最初にスペインに住んでた当時に出会った作品なので、15年以上前から一度見たい・聴きたいと思っていた舞台です。指揮者はダニエル・バレンボイム、演出はハリー・クプファー。長い長い作品なのでひょっとして寝てしまうかも・・・・・・(午前中は仕事だし)と恐れていたのですが、そんなことはなくドキドキしたりちょっと妄想モードに入ったりしつつ楽しむことができました。
「愛し合ってはいけないふたり」 の宿命の恋の物語なので、これはもうわたしの大好物。 もちろんいそいそと変換といきたいところですが、イゾルデは怒りに変え・トリスタンは押し殺していた恋情が、「媚薬」の力を借りて浮上してしまってからはまた別の世界だよね。や、だいたいクロロはハナからそんなすばらしい人物ではないわけですし。
・戦いの途中でなにかのアクシデントが起こり、ふたりだけで閉じ込められ ・しかもなにか不思議な魔力の働く場所で、ただお互いをむさぼるように抱き合い ・呪力が消え、解放されても、もうお互いを殺す力はなくなっていた
みたいなのだったらいいのかなー。クロロもじつは陛下のことをひそかに愛していたのならまあ一応トリスタン路線なんでしょうか? でも万一こんな話になるなら、それまでクロロは陛下にそれなりの関心はあっても恋や愛はなかったほうが面白いでしょうか。
今回のクプファー演出はとても美しく、スタイリッシュだったのですが、最後のアリア「愛の死」を歌うイゾルデは、すでにトリスタンの遺体から遠く離れてひとり立ち、誰もいっしょに立ち得ない境地へと没入していってしまいます。死による愛の成就ではないんだよね。
それにしても、イゾルデとの愛はもちろんですが、おじであるマルケ王(ルネ・パペ非常によかった! 歌唱も姿も)といい家臣のクルヴェナルといい、とにかくトリスタンを愛して愛してやまない姿が目に焼きつきました。いやもう、どんだけ好きなのかと。
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