ブロックごとに反転してお読みいただけるといいかなーと思います。なんちゃって拍手形式。
(1) 「今日はなんの日?」 「ポテトチップスの日だ」 パントリーを開けるとポテトチップスの袋が増えてる。ありがとう、オレのためだね。きみはほとんど食べないし。チョコレートコーティングされたポテトチップ? 新製品か。 「うーん。そうだけど」でも我慢。朝からジャンクな食べものは口にしないって約束したから。それにこのままじゃはぐらかされる。「ほかにもあるじゃん」
(2) 「パイの日のことか」 「パイ? アップルパイ? チェリーパイ?」 まさかキドニーパイじゃないよな。ロンドン野郎のためにマチが練習してる奴。今日がその日だったらまた食べさせられるのか。 「同じ発音だが、ギリシア文字のπだ」 「あ、3.14」 「そうだ」 3.141592...とはじめそうなクラピカに、キッチンのカレンダーを指さしてみた。3月になる前にきっちり書きこんでおいたもんね。
(3) 「蝶について学ぶ日のことか」 いや、それじゃないけど。ひょっとして遊ばれてるかな。 「オレが見たサイトだと[クモを救う日]だったよ。動物愛護団体のサイト」 「そうか」 グレープフルーツに包丁を入れてる横顔にちらりと笑みがうかぶ。邪魔にされるのはわかってたけどそのくちびるの端にキスした。刺されたくないからそこで我慢。 「ねえ、ほかには?」 ほかには、クラピカ?
(4) 「アインシュタインの誕生日だ」だからか。と、ひとりごと。「天才の日でもある」 「それから?」 「月曜日だ」 「記念日、おしまい?」 「じゅうぶんだろう」 「きみの誕生日まであと二十一日」 「記念でもなんでもないな」オレにもコップをくれて、自分のぶんは一息で飲み干して、きみは玄関のほうに歩いていってしまう。「行くぞ」 「待って」ジュースを手に持ったままオレは無理やり先回りした。「これ、履いてみて」 いいや、オレがあげたいんだ。靴箱を開き、昨夜寝るまえにきみの目線の高さに置いといた箱を取った。ニューモデル、きっと気に入るよ。帰ってきたらチョコレートも渡そう。最初に提唱したのはキャンディのメーカーだったって話だけど。 「今はいい」 「え」
(5) クラピカ? ドアを開けてそのまま出ていってしまう。毎日の習慣、朝の走りこみだ。一緒に暮らしはじめてからオレも同行してる。前日、うちに帰れた日はほとんど毎日。すごいだろう。・・・・・・じゃなくて。開けてみてもくれないの? なんとか一緒のエレベータにすべりこんだ。うち専用で便利だけど、一基しかないから置いてかれたらすごく遅れちまう。もちろん、下ですこしは待ってくれるだろうけど。 「雪だ」きみがぽつりと言う。「汚れるだろう」 シューズのことだね。気を使ってくれたんだ。 「積もらないだろうが、文字通り白い日になったな」 「うん」 ちょっと意地っ張りなきみがくれた答。
でもことばだけじゃなかった。外から帰ってシャワーを浴び、ひげの番だと思ってアフターシェーブの壜がほとんど空なのに気づいた。いや、思いだした。とりあえず借りにいこうとかと思ったときにガラス越しにきみの姿が見えた。洗面台の下の棚を指さす。 「わ」 忘れてなんかいないじゃないか。ちゃんと、プレゼントラッピングされてる。それからこのちっちゃいのはオレンジフレーバーのキャンディだね。 今日は[ホワイトデー]。え、聞いたことない? 英語だったらウィキペディアには解説されてるよ。日本ではバレンタインデーのお返しに男のほうからプレゼントする日なんだ。もちろんオレたちは男同士だし、バレンタインにはプレゼントしあったから、今日だってささやかだけど交換しようって思ってアピールしといたんだ。異文化的なお祭だっていいものはとりいれなきゃ。
もちろんその後オレはちょっとだけ叱られた。シューズとチョコレートがあんまり高価だって、また無駄遣いだって。 無駄じゃないのはクラピカ以外のひとにはわかってもらえるから平気。それにいいじゃん? せめて一ヶ月に一度くらい恋人同士のちょっとしたイベントがあったって。
・・・・・
わー、馬鹿でした! しかも今日の午後まで準備してたのとぜんぜん違うしな。 でもバレンタインをはずしてしまったので、ちょっとがんばってみました。おばかさんポイントで拍手など押していただけるとたいへん喜んで図に乗ります。乗りますとも!
http://www001.upp.so-net.ne.jp/aokikana/Welcome.html にボタンが設置してありますのでよろしゅうに〜。では。
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